法人が納める税金には、様々なものがあります。
法人事業税もその一つです。
今回は、法人事業税の特徴や計算方法、法人税や法人住民税の違いを解説します。
法人事業税とは?法人税、法人住民税との違い
法人事業税とは、「法人税等」として取り扱われる税金の一種です。
法人税等は、法人税、法人住民税、法人事業税の3つから構成されています。
それぞれ言葉は似ていますが、以下のような違いがあります。
法人税とは
法人税とは、国に対して納める「国税」で、会社の事業所得に対して課税される税金のことです。
法人税は、納税者自身が税額を計算して納付する「申告納税方式」になっているため、毎年申告しなければなりません。
ここでいう事業所得とは、単なる「売上−費用」で計算される利益とは違うことに注意が必要です。
課税対象となる事業所得は、「益金-損金」で算出されます。
益金は売上とほぼ同じ意味になりますが、損金は当該年度の費用だけでなく、様々な要素を考慮して計算する必要があります。
課税対象の事業所得が赤字の場合、すなわち「益金-損金」がマイナスの場合は法人税を納付する義務はありません。
実際の納税額は、以下のような計算式で算出されます。
法人税額の計算方法
- 法人税額=課税対象となる事業所得×法人税率(23.4パーセント)-控除額
法人住民税とは
個人が住居を構える自治体に住民税を支払うように、法人にも住民税が課せられます。
これが法人住民税です。
自治体の階層別に、「法人都道府県民税」と「法人市町村民税」に分けられています。
ただし、東京23区にのみ事業所を構える法人は、二つをまとめて「法人都民税」として納付します。
法人住民税は、法人税額に法人住民税率をかけた「法人税割」と資本金額別に定められた「均等割」の合計金額を納めます。
このため、課税事業所得が赤字の場合は法人税割を支払う必要はありませんが、「均等割」は赤字でも支払う義務が生じます。
例えば、東京都の均等割は、法人の資本金が1千万円以下かつ従業員50人以下の企業の場合、約7万円です。
法人住民税額の計算方法
- 法人住民税額=法人税割(法人税額×法人住民税率)+均等割
法人事業税とは
法人事業税も、法人住民税と同じく地方自治体に納付する地方税です。
「法人が事業を営む際、道路や消防、警察などの公共サービスの恩恵を少なからず受けている」ことを根拠に課せられる税金です。
法人税と同じく、法人事業税額は課税対象となる事業所得に法人事業税率をかけて算出されるため、赤字の場合は支払い義務が発生しません。
また、法人事業税率は法人税率と比べて比較的低く、課税所得が年400万円以下の所得では3.4%、年401万円以上~800万円以下の所得では5.1%、年801万円以上の所得の場合6.7%となります。
さらに、法人税や法人住民税と異なり、税金でありながら翌年の損金に換算できるというのが最大の特徴です。
ただし、資本金が1億円以上の企業の場合はオフィスの広さや外観、資本金額などを考慮して「外形標準税」という税金が別途課されます。
法人事業税額の計算方法
- 法人事業税額=課税対象となる事業所得×法人事業税率(3.4%〜6.7%)
- ※資本金額1億円以上の場合は別途外形標準税が課される
法人事業税の求め方
法人事業税額の計算方法は上記の通りですが、各自治体によって僅かに法人事業税率や軽減税率の適用要件が異なる場合があります。
例えば大阪府には、障害者を多く雇用している法人に対して法人事業税率を軽減する「ハートフル税制」が存在します。
詳しい内容は以下のページをご覧ください。
法人が収めるその他の税金
法人事業税以外にも、法人が納めなければならない税金はいくつか存在します。
国税
地方法人特別税
地方法人特別税とは、都道府県ごとに法人事業税率が偏在していたことを解消するために設けられた税金のことです。
2019年10月1日の消費税増税に合わせて廃止され、代わりに同様の目的を果たす税金として特別法人事業税が新設されました。
消費税
消費税とは、商品やサービスの販売などの取引に対して課せられる税金です。
消費者が支払った消費税を法人が集めて納める間接税の形式がとられています。
印紙税
印紙税とは、領収書や契約書など、経済取引に関する書類に課せられる税金のことです。
所定の印紙を貼り付けて消印する形で納付します。
源泉所得税
源泉所得税とは、企業の従業員や報酬を受け取る人間にかかる所得税を法人が代わりに納める税金のことです。
ただ、所得税額は年末になるまで確定しないため、年末調整が行われます。
地方税
固定資産税
固定資産税とは、法人が所有する固定資産に課せられる税金です。
対象となる固定資産には、土地、建物、機械などが含まれます。
償却資産税
償却資産税とは、固定資産税のうち、償却資産に課せられる税金のことを指します。
車両や看板、ヘリコプター、パソコンなどが対象です。
都市計画税
都市計画税とは、都市計画事業、土地区画整理事業に充てる費用のために徴収される税金のことです。
道路の建設や整備、上下水道の整備や点検などにあてられます。
住居やオフィスを構えている個人、法人が全員納めなければならない訳ではなく、「市街化区域」内の個人・法人が納税の対象になります。
「市街化区域」とは、すでに市街地である、もしくはこれから市街地化する予定がある地域のことです。
まとめ
法人を設立した場合、毎年様々な税金を支払う必要があります。
税金の負担が増えれば、それだけ会社の利益や運用資金は減ってしまいます。
特に、創業期の会社にとっては少し税金が増えただけで大きな負担になることが多々あります。
このためには、会社設立の段階から節税を意識することが大切です。
こうした節税の効果は、会社設立の段階から現れます。
例えば、資本金の設定額によっては消費税が免除されることがあります。
また、定款の作成と認証の際に電子定款を利用することで、定款にかかる収入印紙代を節約できます。
このように、節税できるかできないかの差は、会社設立段階から顕著に現れます。
節税の知識がない状態で会社を設立しようとした場合、無駄な税金を支払うことになりかねません。
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