目次
会社設立を税理士に依頼をするタイミング
会社設立に関する手続きを税理士に頼むタイミングはおもに3つあります。
それぞれのタイミングで会社設立手続きを税理士に頼むと、どんなことができるかを解説します。
会社設立時に依頼
会社設立時に税理士に依頼をすると、会社設立に必要な手続きを税理士に代行してもらえます。
- 定款作成支援
- 各種届出書類の作成支援
- 各種社会保険申請の支援 など
起業する本人が会社設立に必要な手続きをするのも可能です。
一方、税理士に会社設立に必要な手続きを依頼すれば、手間が省ける、スムーズに手続きできるなどのメリットがあります。
また、会社設立時に税理士に依頼すると、会社設立に関する手続きだけでなく税務顧問契約も依頼できます。
税理士と顧問契約を締結すれば、会社設立だけでなく税務や財務に関する以下の依頼も可能です。
- 会計支援
- 資金繰りの相談
- 税務に関する相談 など
会社設立後に依頼
すでに会社を設立し経営をしているタイミングで税理士に依頼する場合です。
起業後の1期目に売り上げが上がり、決算期の税務や財務のために税理士を依頼する、というケースが多くなっています。
会社設立後に税理士に依頼すると、以下の依頼が可能です。
- 経理や税金に関する相談
- 決算書の作成や税務申告書の作成、提出
- 資金調達に関する相談
ただし、税理士に依頼するまでの経理や税金に関するデータは起業した本人がまとめなければいけません。
また、依頼するタイミングによっては決算直前でも1年分の顧問料を請求されてしまう可能性があります。
個人事業主が起業する際に依頼
個人事業主は確定申告をはじめ、自分で税務や財務に関する処理を行います。
ただし、個人事業主でも2年前の事業売り上げが1,000万円を超えると課税事業者として税金を納める必要があるため、法人成りを検討する個人事業主が多いです。
個人事業主が法人成りのために起業するときも、税理士に依頼するタイミングになります。
個人事業主が法人成りのタイミングで税理士に依頼すれば、以下の依頼が可能です。
- 法人成りの手続きのサポート
- 税務管理や経理の相談
- 経営のアドバイス
- 資金調達の相談
起業するときと同じく、法人成りのための手続きサポートが受けられるのでスムーズで確実な手続きができます。
また、売り上げが上がったことにより大変になる税務や財務の処理を依頼したり、経営に関する相談を受けたりも可能です。
会社設立を税理士に相談するメリット
会社設立を税理士に相談するメリットは多々あります。
それらをいくつかご紹介しましょう。
面倒くさい経理業務が楽になる
税理士への相談はもちろんですが、記帳代行、年末調整、給与計算の業務の代行が可能です。
そのため、これらの業務の支援が可能です。
会計業務は、企業や個人事業主にとって大切なものではありますが、利益を生む行為ではありません。
できれば時間を割きたくないと考えている企業・個人も多いかと思いますが、これらの業務を税理士に依頼することで、本来の業務に時間を活用できます。
経理業務は重要で、特に税務に関しては何もしなければ脱税となってしまいます。
悪質な場合は刑事罰を受けることになりますし、社会的な信頼感を損ねてしまうことにもなりかねません。
税理士に依頼することで、業務の軽減となります。
手間や負担の軽減だけではなく、利益機会の創出にも繋がるなど、メリットは大きいのではないでしょうか。
正しい知識によるアドバイスを受けられる
税理士は税のスペシャリストです。
税理士国家試験に合格した人間だけが名乗れる資格は、確かな税の知識を持っていることを意味します。
そのため、税理士の言葉は正確です。
法律に準拠した正確なものとなっていますので、曖昧なものではありません。
自分で一から税務のことを調べるのはとても大変で、特にインターネットの知識を適当に仕入れても、誤った情報が多かったり、結果的に回り道になってしまったりします。
最初から税理士に相談することで、迷うことや間違えることなく、税務処理ができます。
。
節税のアドバイスで利益を伸ばせる
税理士は税のスペシャリストなので、節税に関しても正しい節税によって利益を伸ばせます。
独自解釈の節税の場合、ともすれば節税として認められない可能性もあります。
場合によっては税務調査を受けて追徴課税を受けることにもなりかねませんが、税理士であれば正しい税に関する知識を持っての節税を行いますので、安心して絵利益を伸ばせることでしょう。
顧問税理士の場合税務調査でメリットがある
税務調査を受けることになった場合、顧問税理士がいる場合、税理士が対応してくれるので安心です。
また、書面添付制度を利用する場合、税理士への意見聴取のみで終わるケースもあります。
税務調査を受けるとなれば、心理的な面でのプレッシャーも大きいものです。
決して悪いことをしているからではなく、あくまでも調査でしかないのですが、受けている側とすれば疑心暗鬼になることでしょう。
その点税理士がいれば、税務調査も問題なく対応してもらえますし、実際に税務調査を受ける際の立ち合いも税理士が行いますので、調査を受けている間、時間を無駄にすることもありません。
他の士業とのネットワーク構築も可能
税理士に依頼すると、税理士が持つネットワークを活用できます。
税理士は税のスペシャリストではありますが、司法書士の領域である登記、行政書士の領域である認可申請は行えません。
しかし、顧客の様々なニーズに対応するために連携している士業も珍しくありませんので、税理士に相談することで、信頼できる司法書士や行政書士を紹介してもらえることもあります。
登記の際は行政書士にも連携してくれたり、もし経営後にトラブルがあった際は弁護士を紹介してもらえたりします。
税理士を窓口に、広範囲にわたって構築されているネットワークの活用が可能になります。
税理士に相談するデメリット
税理士への相談のメリットは多々ありますが、デメリットもありますのでご紹介します。
これらデメリット面も覚えておくことで、税理士に依頼すべきかを考えましょう。
設立後に顧問契約を結ぶことになってしまう可能性がある
会社設立を税理士に依頼した場合、後の顧問契約がセットになっている場合がほとんどです。
会社設立の際は税理士を必要としていたが、顧問契約が開始されてからは思ったほど税理士を必要としないケースもあり、結果的に費用対効果が悪いと感じてしまうこともあるでしょう。
司法書士への外注費用がかる
税理士は税に関するスペシャリストではありますが、登記を行うことはできません。
そのため、場合によっては別途司法書士に依頼する必要があります。
但し、昨今はこの点を踏まえ、司法書士と連携していたり、あるいは司法書士や行政書士資格を取得し、多角的な業務を行っている税理士も登場していますので、選ぶ税理士次第ではこのデメリットの回避も可能です。
相性の問題がある
税理士もまた、人間です。
そのため、依頼した税理士と人間的に合わないと感じてしまうケースもあります。
何となく合わないと感じてしまい、相談するモチベーションが低下してしまうといったケースもあります。
このようなことにならないよう、税理士選びは慎重に行う必要があります。
正式に契約した後では「やっぱりやめた」は通用しません。
無料相談を受け付けている税理士も多いので、具体的な問題解決はもちろんですが、相性が合うのかを判断しましょう。
特に顧問契約を結ぶ場合、長い付き合いとなりますので、専門的な税知識や実績はもちろんですが、人間性がより重要になります。
お金がかかる
税理士に相談・依頼するとなればお金がかかります。
専門的な知識を持つ税理士からのアドバイスは、金銭を支払う価値のあるものではありますが、会社設立直後などまだまだあまり経済状況的に余裕が無い時には、いくら税理士への相談ではあっても抵抗感がある場合も珍しくないでしょう。
税理士に依頼するメリットは多々ありますが、自ら行えばお金がかからないという考えもあります。
「お金をかけなくてもできる」との考えであれば、お金のかかる税理士への相談は、デメリットだと感じてしまうケースもあるでしょう。
事業の成長と共に金銭的な対価と手間・作業の負担のバランスが変化するものですが、会社設立当初となれば、やはりまだまだお金がかかる点をデメリットに感じてしまうのも仕方ない部分ではあります。
会社設立を税理士に依頼する際の費用相場
実際に会社設立を税理士に依頼する際に発生する費用の相場は、税理士はもちろん会社の経営体系によっても異なります。
株式会社、合同会社別の会社設立を税理士に依頼する場合の費用相場をそれぞれ見てみましょう。
株式会社の場合
株式会社を設立する際に税理士に依頼する場合の相場は、20~30万円です。
費用の内訳は以下の通りです。
- 定款印紙代:4万円(電子定款の場合:0円)
- 定款認証代:5万円
- 登録免許税:約15万円(資本金により変動あり)
- 謄本交付手数料:約2,000円(ページ数により変動あり)
- 税理士報酬:0~5万円
- 司法書士報酬:0~5万円
会社設立のための定款などの書類作成は、ページ数が多くなれば多くなるほど費用が高くなる傾向にあります。
合同会社の場合
合同会社を設立する際に税理士に依頼する場合の相場は、6~16万円です。
費用の内訳は以下の通りです。
- 登録免許税:約15万円(資本金により変動あり)
- 謄本交付手数料:約2,000円(ページ数により変動あり)
- 税理士報酬:0~5万円
- 司法書士報酬:0~5万円
合同会社の場合、株式会社のように定款を提出する必要がありません。
書類作成の費用がない分、合同会社設立時の相場の方が安くなっています。
税理士が会社設立を支援する際に行うこと
会社設立時に税理士に依頼すると、いろいろなサポートが受けられます。
税理士が行う4つの会社設立支援を解説します。
会社設立代行
税理士のなかには、会社設立手続きにくわしい税理士もいます。
会社設立手続きにくわしい税理士に依頼すれば、会社設立手続きを代行してもらえるのです。
税理士は登記申請や許認可申請の専門家ではないため、一般的には会社設立手続きに必要な書類作成のアドバイスを税理士が行い、提携している司法書士や行政書士を通して登記や許認可申請を行います。
また、会社設立手続き以来と同時に会社設立後の顧問税理士として契約を締結すると、会社設立手続きを割安で引き受けてくれる税理士もいるのです。
税理代行・税務相談
税務の専門家である税理士には、会社として必要な税務処理の代行や税務に関する相談ができます。
確定申告の書類作成や提出までの代理や税務調査の立ち合い、税務署への申立てなどの依頼が可能です。
経理代行
決算など会社の財務に関する相談や、経理代行も税理士のサポートが受けられます。
財務書類の作成や会計帳簿の帳簿代行も依頼可能です。
資金調達や融資のアドバイス
会社の資金調達や融資のアドバイスも税理士から受けられます。
会社を設立する費用をできるだけ安くしたいときや、中小企業向けの助成金や補助金などの相談や申請方法のアドバイス、融資先の相談も可能です。
会社設立の際の税理士の探し方・選び方
日本税理士連合会によると、令和3年現在、税理士は全国に79,243人とのことです。
東京だけでも23,540人の税理士がいるとのことなので選択肢は豊富ですが、あまりにも多すぎる選択肢のため、どのように探せばよいのか・選べばよいのかで迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、税理士の探し方や選び方のポイントを覚えておきましょう。
探し方
税理士の探し方として、大きく分けるとインターネットを活用する方法と友人・知人から紹介してもらうかになります。
それぞれメリット・デメリットがありますが、それらを含め特徴を把握しておきましょう。
インターネット
インターネットで税理士を探すメリットは下記になります。
- いつでも気軽に探すことが可能
- 探すだけであれば無料
- 税理士のホームページや口コミなど豊富な情報がある
一方で、下記のようなデメリットもあります。
- 情報が多いのでどれが本当の情報なのか分からない
- メールでのやり取りでは好印象だったものの、会ってみたら印象が悪いケースも
インターネット上には様々な情報があります。
税理士の多くもホームページを開設し、自らの事務所の強み・実績等の情報を発信しています。
実際に税理士事務所にお世話になった人たちの口コミもありますので、税理士側からだけではなく、利用者の声を知ることで、より客観的な判断を下すこともできます。
また、インターネット上での情報収取に時間制限はありません。
仕事が終わってから、寝る前、仕事の合間、通勤時、あるいは空き時間などいつでも調べられる点がメリットとして挙げられる一方で、それらの情報の信ぴょう性が分からない点がデメリットに挙げられます。
・インターネットで探すときの注意点
誰もが気軽に情報発信できるインターネットの世界の情報は、すべてが真実とは限りません。
口コミも、多少誇張されていたり、あるいは実際には利用していない可能性もゼロではありません。
決して嘘ではないとしても口コミ投稿者の主観に基づく口コミになります。
良い口コミが多いので実際に依頼してみたら、口コミと全く違う印象を抱いてしまうケースとて有り得ない話ではありません。
口コミ投稿者はあくまでも「そう思った」から投稿しているだけですし、ましてや口コミを元にして税理士を選び、失敗したとしても口コミ投稿者が責任を負うことはありません。
あくまでも「参考意見の一つ」程度にとどめておきましょう。
口コミの意見を参考にして選んだとしても、すべては自己責任です。
さらに、実際に税理士にコンタクトを取れる点もメリットではありますが、メール等、文章ベースのやり取りでは好印象だったものの、実際に会ってみたら自分に合わない…と感じるケースもあります。
メール等、文章ベースの場合自分のリズムで作成できます。
もしもですが、分からないことを質問されたとしても調べる余裕があります。
しかし、実際に顔を合わせての会話の場合、分からないことはすぐに答えることができません。
これらの点を踏まえると、メールでのやり取りだけで全てを判断することができないと分かるのではないでしょうか。
知人からの紹介
知人からの紹介の場合、「知人のお墨付き」というメリットがありますが、必ずしも自分に合うか分からない点がデメリットです。
知人にとっては「素晴らしい税理士」だとしても、自分にとって素晴らしい税理士になるとは限りません。
ましてや税理士の扱う業務は幅広いです。
知人が求めた業務に関しては得意としていたとしても、自分が依頼したい業務に関しての実績はさほどではないケースも十分に考えられます。
また、もしもですが知人から紹介された税理士が自分に合わず、正式な依頼を見送った場合、知人の顔に泥を塗ってしまうことにもなりかねません。
場合によっては知人との人間関係に影響が出る可能性もデメリットです。
選び方
税理士を選ぶ際、どのような点を重視するのか、ポイントとしては下記になります。
税理士の存在は会社にとってとても大きな存在です。
そのため、「この税理士でいい」ではなく「この税理士が良い」と思える税理士を選びましょう。
資金調達に強いかどうか
会社設立でお世話になる場合、やはり資金調達に関するノウハウは重要です。
どれだけ資金調達に強い税理士なのかによって、設立後の会社の命運が左右されるといっても過言ではありません。
設立当初はどうしても資金繰りに困るものです。
利益が安定しない、想像以上に経費がかかる等、本来の業務そのものよりも資金繰りで苦労させられるケースは珍しくありません。
その際、資金調達に関して強い税理士であれば資金調達関連の相談も可能です。
そこで融資ができるのかだけではなく、同業者が融資に通っているのか、自社が融資に通る可能性など、資金調達関連に強い税理士の方が何かと頼りになります。
逆に資金調達に弱い税理士を選んでしまった場合、資金調達に関する相談では力になってくれません。
場合によっては、資金調達に関して新しくコンサルタントを探すなどの手間が必要になります。
手間はもちろんですが、コンサルティング料金も別途発生してしまう点を踏まると、会社設立の際に頼る税理士は、資金調達面でも頼れる存在である方が好ましいです。
自身の業界に精通しているか
自身・自社の業界に対しての理解度もまた、税理士選びのポイントです。
業界に関して精通していればしているほど、より深い税務のアドバイスがもらえます。
個別案件に対して、より具体的な答えも持っていることでしょう。
いわばコンサルタント的な存在として、税務に関することはもちろんですが、包括的に様々な点で頼れる存在となるでしょう。
しかし、業界に対しての理解度が低い場合、税理士に相談してもあくまでも一般論が返ってくるのみで、「実際のところ」までは分からない可能性もあります。
「あくまでも税務のことだけ」な税理士を選んでしまった場合、いざという時に頼れません。
頼れる存在を見つけようと思ったら、やはり別途コンサルタントを見つけなければなりません。
税理士との付き合いは長くなるものです。
だからこそ、税理士が自身・自社の業界に対してどこまで理解しているのかは重要なポイント。
いわばパートナーとして長い付き合いになるかどうかでもありますので、自身・自社の業界に対する理解度もまた、税理士の選び方として重要なものであることが分かるのではないでしょうか。
司法書士・行政書士と比較して
司法書士と行政書士。
この2つの士業と税理士の違いは、実はよく分かっていない人も多いのではないでしょうか。
ともすればほぼ同じだと思っている人も多いかもしれません。
司法書士と行政書士の仕事はそれぞれ「書類の作成・提出」にあります。
また、一部の仕事では税理士の仕事に関連するものもあるため、三者を混同してしまったり、違いがよく分からない人が多いのです。
もちろんそれらは業務内容がが異なりますので、全くの別物です。
そこで、税理士、司法書士、行政書士を比較しながら違いを見ていきましょう。
三つの士業の役割
行政書士、司法書士。
さらには税理士。
3つの士業はそれぞれ役割が異なります。
それぞれの違いを把握することで、それぞれが全く異なる士業だとわかります。
行政書士の業務
行政書士は、「行政」と名付けられているように、行政に提出する書類の作成が主なお仕事です。
官公庁向けの認可、申請、権利義務、事実関係。
これらの証明書類などです。
日常生活に於いて行政・官公庁向けの書類作成機会は決して多くはありません。
そのため、いざ書類を作成しようと思っても迷う人も多いでしょう。
また、書類のミスがあれば「不備」として認められません。
正確性が求められますので、行政関連の書類作成業務を行政書士に依頼する人が多いのです。
会社設立時となると、行政書士は行政書類の作成や認可書類の作成が担当領域ですが、登記業務や税務、決算に関する業務はさほど得意としていません。
司法書士の業務
司法書士は「司法」と冠されているように、法律が絡む書類の作成業務が一般的なお仕事です。
不動産登記、商業登記などは法的な権利者の移動になりますので、司法書士の領分です。
そのため、提出先としては法務局や裁判所になります。
一方で相続や会社設立、民間による契約書など行政書士と関係しているものもあります。
これらの部分に関しては、実は境界線が少々曖昧です。
そのため、特に会社設立に関しては、司法書士と行政書士が「どちらも同じ」だと考えてしまう人が多いのでしょう。
近年はそれぞれに対応するため、司法書士・行政書士双方の資格を取得し、幅広く業務を行っている士業の方がいるのも、曖昧な境界線に近い業務に直面した際「それは担当外」「他の士業を当たってください」となることを避けるためです。
会社設立の際には登記業務を得意分野としていますが、税務や決算、認可申請に関しては担当外です。
税理士の業務
税理士のお仕事は税務に関することです。
書類の作成はもちろんですが、税に関するアドバイスも行いますので、コンサルタント的な活動を行っている税理士も珍しくありません。
その点では、行政書士や司法書士とは、立ち位置が異なります。
書類を作成してもらうためではなく、税に関するアドバイスをもらうために税理士を頼る人も珍しくありません。
特に会社設立に関しては、税務を正しく把握しておく必要がありますし、税理士の能力次第では税務だけではなく、様々な点で相談が可能になります。
プロ野球選手などアスリートの代理人を務めている税理士がいるのも、税に関する多角的なアドバイスが求められているからこそです。
会社設立の際には税務や決算についてを得意としている一方で、登記業務や認可申請に関しては管轄外です。
費用の違い
行政書士、司法書士、そして税理士。
それぞれ異なる存在であることが分かっていただけたかと思いますが、やはり気になるのが費用なのではないでしょうか。
会社設立時にそれぞれの士業に依頼する際の費用の目安は以下となっています。
- 税理士:50,000円程度
- 司法書士:100,000~150,000円程度
- 行政書士:100,000円程度
それぞれ費用に違いがありますが、これらは会社設立時の業務の多さに比例しています。
会社を設立するということは、認可を受けなければならないこともあれば、登記業務もあります。
そのため、これらの相場費用だけで会社設立が可能なわけではなく、会社の業務等に応じてどこに依頼するかが決まります。
どの士業を選ぶかのポイント
会社設立時の士業選びのポイントにおいて、結論としては「会社によって異なる」です。
どのような会社なのかによって選ぶ士業が異なりますが、判断材料がいくつかありますので、どのような会社ならどの士業を頼るのかなどを以下にまとめてみました。
ただし、昨今は一つの資格だけではなく、複数の資格を取得して幅広い業務を行っている士業従事者が多い点も覚えておきましょう。
行政書士
行政関連の認可や届け出の書類に関しては行政書士に依頼するとよいでしょう。
権利関係、行政に提出するしょるの作成は行政書士の領域。
裏を返せば、司法書士や税理士よりも行政書士が優れている部分になります。
その点では建設業や運送業、飲食業など業務開始のために届け出や許認可が必要になる業種は、行政書士への依頼がよいでしょう。
司法書士
登記手続きは司法書士のみが行えるものです。
行政書士、税理士は登記手続き代理業はできません。
そのため、登記の面倒を見てもらいたい人は司法書士に相談してみるとよいでしょう。
税理士
どの企業に於いても税は無関係ではありませんので、会社設立時よりも、むしろ決算時に税理士のお世話になる企業が多いことでしょう。
また、税理士は許認可申請や会社登記は専門領域外になりますが、会社設立時に税理士に依頼することで、その後の税に関するアドバイスを受けられる特典が用意されているケースも多いです。
そのため、会社設立時だけではなくその後も様々な面でアドバイスを受けたいと考えているのであれば税理士に依頼してみるとよいでしょう。
実際に相談して決めることが重要
誰に依頼するにせよ、まずは実際に相談してみることが大切です。
実際に顔を合わせて相談してみることで、合う・合わないも見えてきます。
信頼できる相手であることは大前提ですが、自社の業界に詳しいのかや、費用や実績を他社と比較し、必要となるシーンごとにそれぞれの専門家を選ぶことが大切です。
どの士業に依頼するかでその後の会社の方向性が決まるといっても過言ではないだけに、士業選びは真剣に、慎重に行うことが求められますので、ネット上だけで決めるのではなく、実際に会って判断してみましょう。
税理士に相談するときのコツ
会社設立に関する悩みや問題の相談は確かな知識を持つ税理士こそ適任です。
憶測・予測ではなく、確かな知識に基づくアドバイスで最適解へと導いてくれる存在が税理士ですが、税理士に相談する際には、いくつか覚えておいた方が良いポイントがあります。
それらを覚えておくと、税理士への相談がよりスムーズなものとなるでしょう。
無料相談と有料相談の違い
税理士への相談の一歩目は税理士のホームページのチェックです。
どの税理士もホームページを構え、自社の強み等をアピールしています。
そこでは随時相談に応じるとしている税理士も珍しくありません。
電話やメールでの相談はもちろんですが、無料相談を行っている税理士も少なくありません。
確かな知識を持つ税理士への相談が無料であれば、相談のきっかけとして活用しやすいのですが、無料相談の場合、いくつかの条件が限られているケースがあります。
- 時間制限がある
- あくまでも大まかな相談のみで個別相談ができない
- メール無料相談の場合、実際に事務所まで足を運ぶよう促される
結論として、無料相談だけで悩みを解決するのは難しいです。
無料相談は税理士が、顧問契約を受注するために設けている最初の顔合わせみたいなものなので、無料相談を行うのであれば、問題を解決するためではなく、問題解決を任せられる税理士であるかどうかを判断する場所として考えておいた方が良いでしょう。
その点では無料相談の際に見るべきポイントは以下となります。
自分に合う税理士なのか
- 自分が相談したいジャンルに対して深い知識や実績があるのか
- 問題解決を通して長い付き合いができそうか
無料相談では、これらの点をチェックするとよいでしょう。
限られた時間内で抱えている問題の解決は難しいので、無料相談は「その後のためのチェック」と割り切った方が無難です。
有料相談の方が深い話ができる
有料相談は無料相談と比べると、税理士としても「本気」です。
無料相談が本気ではない訳ではないのですが、無料相談は時間制限等もありますし、あくまでも「その後」のためのものです。
しかし、有料の場合、税理士としても解決のための最善策を考えてくれます。
そのため、問題を解決したいのであれば有料相談の方が良いのですが、いきなりの有料相談の場合、不安もあるでしょう。
そのため、まずは無料相談を行い、信頼できる税理士だと判断できたら有料相談を行う流れが良いでしょう。
事前に有料相談を申し込んでおけば、問題解決のための事例や資料を用意し、より具体的で分かりやすい話をしてくれる税理士もいるなど、有料である以上、無料相談とは責任感が違います。
全ての税理士が無料相談を行っている訳ではない
税理士側としても無料相談は依頼のきっかけの一つとして位置付けていますが、すべての税理士が無料相談を行っている訳ではありません。
そして、無料相談を行っていないからダメな税理士とは限りませんし、無料相談をおこおなっている税理士が優秀な税理士とも限りません。
無料相談はあくまでもきっかけの一つであり、無料相談の有無は税理士としてのスキルとは無関係です。
相談することをはっきりさせておく
税理士への相談をと考えているのであれば、相談内容はより具体的な方が良いでしょう。
「何となく相談してみたい」「税理士がどんなものなのかまずは見てみたい」といった抽象的な理由ではなく、「資金がないけど、人材系を起業したい場合どうしたらいいのか?」などより具体的な悩みや相談がある方が、税理士としても具体的な答えが出せます。
抽象的な相談の場合、税理士としても一般論で話すことしかできませんが、より具体的であればあるほど、それまでの事例や法律に照らし合わせての最適解を導いてくれることでしょう。
税理士に相談した後、「思った答えではなかった」「もっと具体的なことを言って欲しかった」と思う場合、質問が悪い可能性も十分に考えられます。
相談内容
税理士に相談するのであれば、何を相談したいのかを具体的にしておきましょう。
資金調達で相談したいのか、あるいは節税なのか、経営改革なのか。
具体的であればあるほど、税理士もより具体的な答えが用意できます。
また、相談内容を具体的かつある程度絞った方が時間の節約になります。
ダラダラと話しながら「あ、それも問題なんです」と思いだしたかのように話すより、相談する前の段階で、何を相談するのかメモなどにリストアップしておくと良いでしょう。
有料での相談の場合、時間制の税理士は多いです。
限られた時間の中でより具体的な答えをと思ったら、予め解決したい問題に関して決めておくと良いでしょう。
金額の規模
税理士に相談する際、悩みの問題はもちろんですが金額の規模もより具体的な方が良いでしょう。
特に税に関しては金額規模で最適解が変わります。
より具体的な答えを求めているのであれば、具体的な金額規模を伝えた方が、税理士も答えを出しやすいです。
例えば節税の相談をと考えた時、「節税をしたいんです」ではなく、「売り上げが〇〇円で従業員が〇〇人で」など、より具体的であればあるほど、一般論ではない自身にとっての最適解が待っていることでしょう。
自社の現状
自身・自社の現状も正しく伝えた方が税理士としても具体的な対策を出しやすいです。
単純に、黒字なのか赤字なのかによって税の扱いは変わります。
また、黒字であればどれだけの黒字なのかによっても、税の取り扱いが変わる部分もありますので、相談するのであれば自社の現状を正確に伝えましょう。
デリケートな部分になりますので、伝えづらいと感じるのも分からない話ではありませんが、より正確な情報であればあるほど、税理士としても状況に応じた対策の提案が可能になります。
理想・目的
税理士に相談するということは、理想と現状のギャップを埋めるための対策を教えてもらうことでもあります。
悩みに関してはより具体的にとお伝えしましたが、理想や目的が具体的であればあるほど、税理士も客観的な判断・アドバイスが可能になります。
理想や目的を伝えるのは恥ずかしいかもしれませんが、税理士は真摯に寄り添ってくれるので、この点に関してもより具体的なものを伝えるようにしましょう。
税理士と顧問契約を結ぶ場合
税理士に相談する場合、その時その時で相談する方法もあれば、顧問契約を結ぶことも可能です。
特に顧問契約の場合、深い付き合いになりますので、その都度税理士を探すよりも、一般論ではなく、「自社にとってどうなのか」というより具体的なアドバイスを受けることも可能です。
しかし、顧問契約を結ぶにあたって、疑問を抱えている人も多いようです。
そこで、税理士の顧問契約に関してタイミングやメリット、スポット契約との違いなど様々な点をみてみるとしましょう。
頼める事とそのメリット
税理士との顧問契約を結び、顧問税理士をつける場合、何を頼めるのかやそのメリットは実は多々あります。
効果的な節税
節税は利益が増えれば増えるほど意識すべきものですが、顧問税理士を置くことで正しい節税が可能になります。
この点はスポット契約の税理士でも同じなのですが、顧問税理士をおくことで、依頼時だけではなく、常に会社の状況を把握してもらえるので、より効果的な節税が可能になります。
スポット契約よりも実態を理解してくれるので、より効果的な節税をもたらしてくれることでしょう。
代行できる業務が多いからこその作業負担軽減
税理士は記帳代行、年末調整、給与計算の代行が可能です。
そのため、顧問税理士を置くことで、これらの業務の補助も可能となります。
経理の負担軽減はもちろんですが、会計業務を自ら行っている個人事業主や小規模事業者であればそれらの時間を本来の業務に充てることができるので時間の有効活用が可能になりますし、忙しい時期だけ経理担当者を雇っている企業も、顧問税理士がある程度業務を行えるので人件費の削減も可能になります。
資金調達でのアドバンテージ
顧問税理士はその都度の契約ではなく、いわば「長い付き合い」になります。
そのため、会社への理解度も深まりますし、いつでも相談が可能になりますので、資金調達の際にも自社に見合った適切なアドバイスを得られると共に、融資の際の決算書や法人税の確定申告書に顧問税理士の記名・印があることで金融機関からの信頼度も高まります。
これらの結果、顧問税理士がいない時よりも資金調達が潤滑に進められるでしょう。
税務調査への対応
もしもですが、税務調査の対象となってしまったとしても、顧問税理士がいれば事前に通知を受けられますし、調査当日も税務調査官とのやり取りを行ってもらえます。
税務調査を受ける際には用意しておくべき書類がいくつかあるのですが、顧問税理士がいればすぐに対応してくれることでしょう。
また、対応してもらえる存在がいることの心理的なメリットも大きいです。
税務調査は、受ける側にとってはプレッシャーの大きいものです。
もしもですが、何らかの不備を指摘された場合、追徴課税という形で負担が増えてしまいますが顧問税理士がいれば、精神的な安心感にも繋がります。
また、そもそも顧問弁護士がいる場合、書面添付制度を利用できます。
こちらは税務調査の前に顧問税理士に意見聴取が行われるのですが、税理士への聴取のみで終了できるケースもあります。
顧問契約が必要になるタイミング
顧問税理士がいると様々なメリットがありますが、税理士と顧問契約を結ぶタイミングは大きく3つのタイミングがあるとされています。
節税が必要だと実感した時
売り上げが増えるほど納める税金が増えます。
そのため、節税対策も必要になります。
この点は企業も個人も同様ですが、顧問契約を結ぶことで、決算・確定申告時だけではなく、常日頃から面倒を見てもらえますので効果的な節税対策が可能となります。
また、税理士による判断なので、節税の妥当性も正しく、後々トラブルになる可能性も低いので、節税対策に本腰を入れたいなと思ったら、税理士との顧問契約を考えるタイミングです。
売り上げ高が1000万円を超えた時
売上高が1000万円を超えると、課税事業者となりますので消費税の納税が必要になります。
そのため、会計業務の負担が増えます。
それまで考える必要がなかった手間・作業が必要になりますし、当然ミスは許されませんので、正しい税知識による会計業務が求められます。
実際にこのタイミングで税理士と顧問契約を結んでいる企業や個人は珍しくないのも、一つの節目であるからこそです。
また、超えそうなタイミングで顧問契約を結ぶケースもあります。
売り上げが1000万円をこえて消費税を支払うことになるよりは、売り上げを抑えて消費税を支払わないようにとの対策のため、顧問契約を結び、適切なアドバイスをもらっている個人・企業もあります。
経理や税務に関しての業務が増えてきた時
売り上げ1000万円に関わらず、会社や個人として成長している時には売り上げも増えればその分経費も増えます。
会社であれば新たに従業員を雇ったりもするでしょう。
結果、会計業務が増えますしミスも許されないことから税理士と顧問契約を結ぶケースが多いです。
会計業務の負担軽減と正確な税知識が必要になるのが、いわばこのタイミングということです。
スポット契約との違い
税理士との契約は顧問契約だけではなく、その都度契約を結ぶスポット契約もあります。
スポット契約と顧問契約の違いは、単発か長期的な契約かですが、契約形式の違いだけではなく、実際に得られるメリットにも違いがあります。
費用
スポット契約の場合、あくまでもその時だけ依頼する形になりますが、顧問契約の場合月額、あるいは年額など契約期間に応じた支払いとなりますので、支払額を見るとスポット契約の方が安いです。
税理士への費用に対しての考え方は売り上げ等に基づくものですので、売り上げ・企業規模等を踏まえ、自社にとってのベストな方法を選びましょう。
付き合いの深さ
スポット契約とは、受けた依頼を遂行するための契約です。
一方、顧問契約の場合、相談役としての意味合いもありますので、深い付き合いになります。
結果、会社に対しての理解度も深まります。
スポット契約はあくまでも「その場限りの付き合い」になりますので、税理士側としてもあくまでも受けた依頼を実現するために動きますが、顧問契約の場合、税務に関して様々な角度からのアドバイスを受けることが可能です。
また、その際には自社にとって良い方向に進むためのアドバイスが受けられます。
長い付き合いとなることで、問題点等も把握してもらえますので、問題の解決のための「自社にとって」の正しいアドバイスを受けられるようになる点は、顧問税理士のみのメリットです。
まとめ
会社設立に必要な諸業務で、税理士に依頼したいが悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、税理士選びがポイントです。
中には、会社設立代行まではできない税理士や、税理士の独占業務しかできない税理士もいます。
もし誤ってそのような方に依頼してしまうと、部分的に他の税理士に依頼する羽目になったり、逆に、一部を自分で行わなくてはならない場合があります。
そのような方におすすめなのが、当社の会社設立代行です。
当社の強みは、電子定款使用することで費用が安くなり、さらに、資金調達や融資、助成金のサポートもできることです。
会社創業時には、事業のことでお悩みが多く、会社代行に必要な諸業務を怠ったり、見落としがちな助成金を申請していなかったりする例が多く見受けられます。
ぜひ当社税理士を活用し、会社設立にお役立てください。