近年、サラリーマンとして会社に勤めながら副業を行う人が増えています。
副業で稼いだお金は、本業収入に副業収入を上乗せして申告するのが一般的な流れです。
しかし、副業収入として稼ぐのではなく、妻を社長にして会社を設立すると、さまざまなメリットがあることをご存知でしょうか。
この記事では、妻を社長にした会社を設立し、プライベートカンパニーを利用して節税する方法と注意点を解説します。
副業が会社にバレない方法を知りたい方や、妻を社長にして会社設立をする具体的な方法を知りたい方に役立つ情報をまとめました。
妻を社長に会社設立するメリット
まずは、自分自身ではなく、妻を社長にして会社を設立するとどのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。
それぞれを3つの項目に分けて具体的に解説していきます。
プライベートカンパニーで節税できる
プライベートカンパニーとは、個人や家族の事業収入と資産管理のために設立する会社のことです。
個人事業主として副業収入を管理するよりも、会社設立をすると節税対策をしやすいというメリットがあります。
なぜなら、同じ所得金額でも個人より法人の方が税制優遇が大きいからです。
例えば、個人で稼いだ所得が500万円とすると、税率は30%(所得税20%+住民税10%)で計算されます。
一方で、法人として所得500万円を稼ぐと課税される税率は16.4%(所得税15% + 住民税7万円)にできるのです。
さらに、法人収支が赤字だった場合は、年間所得税無し、住民税7万円の支払いのみで済みます。
この仕組みを上手く利用した結果、手元に残る金額を年間100万円以上増やせる場合があります。
会社にバレない・副業規定に引っかからない
お勤めの会社の「副業規定」により副業が認められていない場合があります。
この際、自分を社長にして副業や会社設立をすると、副業がバレやすくなり、最悪の場合ペナルティを受ける可能性があります。
しかし、妻を社長にして会社を設立すると、自分の名義を一切使わないため、会社にバレずに副業ができるようになります。
会社に副業がバレるのは、副業収入の確定申告により増加した住民税が会社の経理に通知されることが主な原因です。
利益を個人ではなくプライベートカンパニーに計上すると、住民税が増加しないため、勤め先に副業収入がバレることを防ぎます。
会社設立で社会的信用力がアップする
ご自身がサラリーマンで妻を会社社長にした場合、プライベートカンパニーでの利益にサラリーマンの安定収入が追加されます。
夫婦2人で安定した収入を稼いでいることがわかるため、金融機関や取引先企業からの信用力が高くなりやすいです。
社会的信用力を高めておくと、事業資金を借入れしやすくなったり、取引をスムーズに進められるようになったりします。
今後の事業拡大を目指している方はメリットとなるでしょう。
妻を社長にする場合の注意点
妻を社長にしてプライベートカンパニーを設立する場合、いくつかの注意すべき点があります。
節税になるという言葉だけを信じて安易に会社を設立すると、結果的に後悔してしまうかもしれません。
ここでは、会社設立前に知っておくべき注意点を2つに分けて解説します。
法人口座を開設する
法人口座とは、個人用の銀行口座とは別に事業用の資金を管理したり、取引先からの売り上げを入金したりする際に利用する口座のことです。
この法人口座は、会社設立をしたからといって自動的に作られるものではなく、自ら金融機関に行き開設手続きを行わなければなりません。
大手金融機関では、新規法人の口座開設が断られる可能性があるため、事業がスタートする前に用意できるよう、早めに準備しておくか、地方の銀行にも申請するなどしておきましょう。
役員報酬は年に一回しか設定できない
妻を社長にして会社を設立する場合、役員報酬額を事前に設定しなければなりません。
法人の役員報酬は、年に一回の設定後は「原則変更できない」というルールがあり、一度設定すると後から減額や増額ができません。
さらに、決算後3ヶ月以内に決定するルールになっています。
途中で変更できないことを理解したうえで、法人税や所得税を節税できる最適な設定金額を目指しましょう。
妻を社長に会社を設立する際に準備すべきもの
続いて、妻を社長にして会社を設立する際に準備が必要なものを紹介します。
節税のためとはいっても会社設立にはそれなりの手間が発生します。
事前にどんな書類と手続きが必要なのかを理解しておきましょう。
会社設立にかかる費用
法人設立には、大きく分けて「合同会社」と「株式会社」2種類の設立方法があります。
「合同会社」は、少ない資金と維持費で会社を設立できるメリットがありますが、設立が簡単なため社会的な信用度が低いというデメリットがあります。
次に「株式会社」では、合同会社と比べて会社設立にかかる費用が高いですが、社会的信用を得られやすいため、将来的に資金調達がしやすいなど、取引先から信頼されやすいというメリットがあります。
今回のように節税目的で会社を設立するなら、初期費用と維持費が少ない合同会社がおすすめです。
必要な書類
続いて、会社設立に必要な書類を紹介していきます。
必要となる主な書類は以下の通りです。
- 登記申請書
- 払込証明書
- 役員就任承諾書
- 印鑑証明書、届出書
では、それぞれの会社設立書類について解説していきます。
登記申請書
登記申請書とは、会社設立の基本情報を示すための書類です。
登録免許税として、合同会社の場合で最低6万円が必要です。
払込証明書
払込証明書とは、資本金の払込があることを証明するための書類です。
定款に記載された資本金額と合わせなければなりません。
役員就任承諾書
役員就任承諾書とは、会社の役員として就任する人の承諾を確認する書類です。
妻を役員にする場合は、妻の名前で用意します。
印鑑証明書、届出書
役員に就任する人の印鑑証明書を提出します。
印鑑届出書とは、実印登録のときに利用する書類です。
定款や社名など
会社設立には、定款や社名など事前に決めなければならない基本情報があります。
定款とは、会社運営の基本規則などを記載したものです。
会社の基本規約や規則などをまとめたものです。
定款に記載しなければならない内容は定められているため、記入漏れがないように注意が必要です。
社名も、後から変更ができないため事前に準備をしておきましょう。
オススメは代行会社への依頼
会社設立には、複雑な書類作成や基本規約の決定など、非常に面倒な作業が必要です。
副業対策や節税対策のために、妻を社長にして会社設立をする場合、忙しい本業の合間を使って手続きを進めなければなりません。
さらにご自身が社長ではなく妻が社長なので、手続きには奥様の手間も発生してしまいます。
そんな夫婦の負担を少なくするためにおすすめの方法は「会社設立代行サービス」です。
代行会社に依頼することで書類の記載ミスや複雑な手続きを回避できます。
妻を社長にしない方が良い場合の例外ケース
妻を社長にすると確実に全員がうまくいくわけではありません。
ここでは、妻を社長にしない方がいい例外ケースを2つ紹介します。
法人融資を多額に受ける場合且つ妻が忙しい場合
妻を代表取締役社長にして設立した会社で、法人融資を検討している場合、以下のデメリットが考えられます。
例えば、法人の事業拡大用に融資を受ける場合、連帯保証人になるのは妻になります。
しかし、金融機関に実質の責任者が妻ではなく夫だと見抜かれている場合も多く、夫も連帯保証人になることを求められる場合があります。
手続きにおいても、融資審査に向けた職務経歴書などの資料作成や、金融機関と面談をする場面があります。
頻繁に金融機関に行かなければならないので、妻が子育て中などで忙しい場合はわざわざ足を運ぶデメリットが大きすぎると感じる方もいるでしょう。
夫婦の状況に応じて最適な方法を探してみてください。
妻も会社に勤めている場合
近年は、専業主婦が減少し共働き夫婦が増加しているため、妻が正社員やパートとして勤めている家庭も多いでしょう。
もし、妻がパート勤めであれば、妻を社長にした会社設立で問題ありません。
一方で、妻が正社員として働いている場合は、妻を社長にしない選択肢を検討してもいいかもしれません。
副業規定の無いどちらか一方、またはバレたときのリスクが低い方を社長にして会社を設立しましょう。
まとめ
この記事では、サラリーマンが会社にバレずに副業をしながら妻を社長にして会社を設立し、節税する方法を紹介しました。
サラリーマンとして勤めながら副業をする場合、プライベートカンパニーを設立するだけで、大きな節税効果と副業対策を期待できます。
ビジネスに興味のない奥様の場合、手続きで一時的に負担をかけてしまいますが、節税のメリットと夫婦の未来を考えれば理解してくれるでしょう。
会社設立には、多くの書類作成と手続きが発生します。
書類に不備があるとさらに手間が増えてしまう可能性があるため事前に必要書類を確認し、わからない部分は専門家に相談することをおすすめします。