起業をする際、必ず必要になるのが一定の軍資金です。
設立費用から開業資金、運転資金など、多大な出費を覚悟する必要があります。
起業をしたいけれどお金がない、と二の足を踏んでいる人は少なくないでしょう。
そんな時非常に頼りになるのが、国や自治体が主催している助成金制度や補助金制度です。
目次
会社設立前に知っておくべき助成金・補助金
助成金や補助金の制度は、銀行などから受ける「融資」と異なり、返済不要なものがほとんどです。
原則として返済不要なのが特徴なので、起業時の資金調達方法として非常に人気です。
今回は、起業をする際に活用したい補助金・助成金について、その特徴や種類などを解説していきます。
助成金・補助金の違い
そもそも助成金・補助金とはどういった制度なのでしょうか。
補助金・助成金とは、国・自治体が推進したい行為を行っている機関・個人に対して交付する金銭的な給付金のことです。
補助金・助成金に明確な定義の違いはありませんが、大きく分けると以下のような違いが存在します。
受給の難易度の違い
助成金は特定の条件を満たせば受給出来る可能性が高いのに対し、補助金は採択数の上限が決まっている場合が多く、審査が厳しいのが特徴です。
申請期間の違い
助成金は随時申請を受け付けているケースが多く、いつでも申請できることが多いです。
一方で、補助金は申請期間が限定されており、一ヶ月程度しかないケースもあります。
金額の違い
随時申請可能で、条件を満たせば受給出来る場合が多い助成金は、それ故貰える金額が少ないことが多いです。
一方で、補助金は、受給する難易度が高い分、審査さえ通れば高い金額を貰える場合が多いのが特徴です。
助成金・補助金の種類
起業に関する助成金・補助金を提供している機関は、数多く存在しますが、大きく分けると以下の4つに分類できます。
経済産業省
経済産業省は、日本の経済・産業の発展を図る国の行政機関です。
管轄下には、中小企業の育成・発展に関する業務を掌握する中小企業庁も含まれています。
そのため、中小企業の成長を助ける補助金や、地域活性化に関する事業に対する補助金を多く提供しているのが特徴です。
例として、「地域創造的起業補助金」、「事業承継補助金」、「ものづくり補助金」などがあります。
経済産業省が提供しているのは補助金のみで、助成金はありません。
厚生労働省
厚生労働省は、福祉・雇用・労働・年金などを管轄する行政機関です。
そのため、厚生労働省の提供する補助金・助成金は、雇用促進、労働者の職業能力向上など「雇用」に関連するケースがほとんどです。
例として、「キャリアアップ助成金」などがあります。
起業時に人を雇用する計画のある方は、これらの助成金を上手く活用することで採用・教育などの人件費を抑えることができるでしょう。
地方自治体
各地方自治体も、地域内の経済活性化を目的として、多様な補助金・助成金を提供しているケースがあります。
例えば、長野県松本市では、市内で新規に起業する人を対象に、最大2年間の家賃補助を提供しています。
また、東京都港区では、会社のWebサイト作成やプロモーションにかかる費用を補助してもらえる制度も存在します。
起業をする際は、予め拠点を構える予定の市長区村で補助金・助成金の制度がないかチェックしておくとよいでしょう。
民間団体・企業
国の行政機関や地方自治体だけではなく、民間の企業・団体でも社会公益や優秀な人材の成長促進を目的として、補助金・助成金を提供している場合があります。
しかし民間企業・団体の提供する補助金・助成金制度は、公的機関より審査が厳しい場合が多く、非常に狭き門であるといえます。
助成金・補助金のメリット
返済の必要がない
補助金や助成金というのは、一切返済義務を負うことのない雑収入になります。
収入であって借入ではありませんから、返済することなく全て事業に使うことができるのです。
補助金は勘定科目の「雑収入」に該当しますから、法人税の対象になります。
助成金は雇用保険料が原資で、支給されるお金ですから、自由に使うことができます。
ちなみに、補助金や助成金に消費税は掛かりません。
社会的信用が向上する
補助金や助成金は、申請した全ての会社が受け取れるものではありません。
審査があるからです。
補助金や助成金などの公的補助金を受け取った実績があるということは、国の与信審査を通過した優良企業の証です。
また、公的補助金を獲得し、社会的信用力を証明できた暁には、金融機関の融資審査が有利になる場合もあります。
課題解決や事業拡大の可能性が広がる
国からの補助金や助成金を活用するということは、中小企業にとって事業拡大のための設備投資を促進する目的や、労務に関する課題解決という目的があります。
受け取ったお金は資金繰りに回すこともできますが、ビジネス拡大を狙って、より大きな目的意識を持って使う方が企業の成長につながるのではないでしょうか。
その他のメリット
中小企業にとっては、様々な補助金や助成金があります。
特に、開業時に受け取ることができる補助金は、それだけで初期費用の不足を補えるだけでなく、運転資金に利用することもできるので、安定したスタートを切ることができます。
2021年度の会社設立時に利用できる助成金・補助金
創業補助金
創業支援等事業者補助金というのは、経済産業省中小企業庁が新たに起業しようとする人を支援する補助金です。
新規事業を立ち上げて創業する人向けの補助金としてはかなり高い補助額となっています。
支給額は50万円~1,000万円となっていますので、個人としては魅力的な補助金です。
補助率は経費の3分の2以内となっていて、補助対象となる経費は「人件費」「事業費」「委託費」となっています。
人件費というのは、直接仕事に従事する人に支払う給与などです。
事業費というのは、事業実施のために招いた講師等への謝礼や研修に行った際の旅費などや、仕事を外注した場合の外注費などです。
委託費というのは、共同実施者がいる場合に事業の一部を委託する際に発生する経費です。
また、補助対象となる経費については、仕様書・見積書・発注書・納品書・請求書などを提出しなければなりません。
また、従業員を1名以上雇用することが補助の条件となっているのは、個人事業主にしてみればかなり高いハードルになるのではないでしょうか。
補助金の採択審査は、全ての要件を満たした上で、事業計画の審査を行います。
審査の内容は、事業内容の妥当性・事業計画の実効性・事業の新規性や波及性・政策的意義などです。
採択されるには途方もないレベルが要求されているように感じますが、申請書の一つ一つを丁寧に記載し、事業内容については、ある程度の作文力が必要になるでしょう。
高額補助金を得るためですから頑張りがいがあるのではないでしょうか。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金というのは、経済産業省所管の独立行政法人中小企業基盤整備機構(通称:中小機構)が、中小企業や小規模事業者を支援する補助事業のうちのひとつで、小規模事業者が持続的に発展するために販路の拡大等の取組みを支援する補助金です。
補助額は一般型の上限が50万円で、低感染リスク型ビジネス枠の上限が100万円となっています。
補助率は一般型が3分の2で、低感染リスク型ビジネス枠が4分の3となっており、かなり高い補助率となっています。
補助対象費用は、一般型は店舗の改装費やチラシや広告などの費用となっています。
低感染リスク型ビジネス枠の場合は、オンライン化のためのツールやシステムの導入費やECサイトの構築費となっています。
この補助金を活用して広告宣伝に力を注いだことで、問い合わせや予約が増加するなどの成果があったようです。
補助率が高いこの補助事業を活用して売上がアップするのであればやらない手はありません。
中小機構のホームページで最新情報を得るようにしましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金というのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行なっているいくつかの補助事業のひとつで、中小企業が新製品やサービスの開発や生産プロセスを改善するための設備投資費用を支援する補助事業です。
補助額の上限は一般型では1,000万円となっており、グローバル展開型は3,000万円とかなり高額になっています。
補助率は2分の1となっておりますが、特に低感染リスク型ビジネス枠に該当すると3分の2の補助率にアップします。
さらに、ビジネスモデル構築型というのは、補助額が1億円という破格の補助額となっています。
生産性を向上させようと考えている企業なら誰でも使える補助金ですから人気も高いようです。
事業継承補助金
事業継承補助金は、経済産業省中小企業庁の所管で、国庫補助金を財源としている一般社団法人サービスデザイン推進協議会が執行する補助事業です。
この補助金は、中小企業や小規模事業者が事業継承を契機として経営革新を行なう場合に、その経費の一部を補助するものです。
この補助金を活用することによって、世代交代による経済の活性化を図ることを目的としています。
補助額は、後継者承継支援型は上限が225万円となっており、事業再編・事業統合支援型は上限が450万円となっています。
補助率はどちらも2分の1となっています。
後継者がいなくて事業の継続が困難な中小企業が、この補助金を活用して事業を継続することで日本の経済活性化に貢献することを期待した補助事業です。
地域中小企業応援ファンド
地域中小企業応援ファンドというのは、地域企業の付加価値を高める事業を通じて地域経済の活性化や雇用の創出を図る取組みに対して補助する事業です。
独立行政法人中小企業基盤整備機構と各都道府県及び中小企業支援機関や地方銀行などが共同出資して、ファンドを形成して中小企業支援機関が運営するものです。
各地域の農林水産物や伝統技術を活用して商品開発をしたり販路を開拓する取り組みを支援します。
中小企業者や新規創業者が地域産業を活用した事業の取組みをすることで、地域経済の活性化に期待する補助事業です。
該当する可能性がある場合は、積極的に検討して欲しい補助金です。
ケース別のおすすめ助成金・補助金
中小企業
トライアル雇用奨励金
トライアル雇用奨励金というのは、就業経験が少なかったり、求める技能や知識が不足していることが理由で、安定した就職が困難になっている求職者に対して、一定期間の試行雇用をした事業者に助成する制度で、厚生労働省の助成事業です。
新規雇用をする場合、どうしても企業は即戦力に近い人材を求めがちで、その可能性が少ない人材を雇用することが難しい状況にあります。
しかし、現段階の技能や知識、経験だけで可能性の有無を判断するのではなく、試しに雇用してみることで求職者にチャンスを与える制度です。
幅広い求職活動をしていても、受け入れてくれる企業が無いと永遠に求職活動を行わなければなりません。
そのような事態に陥っている人を一人でも救うことができるように、助成金をもらいながら雇用のチャンスを広げてあげて欲しいと思います。
また、それが企業にとってもプラスになるように育成をしていくことも、大きな社会貢献ではないでしょうか。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金というのは、中小企業や小規模事業者が、ある条件に則った人材を雇うことに対する支援金のことを言います。
この助成金は7つの種類がありますが、それぞれの従業員の条件に合致したコースが設けられています。
「3年以内既卒者等採用定着コース」は既卒者や中退者を雇い入れるための支援です。
「特定就職困難者コース」は高年齢者や障害者、母子家庭の母などを雇い入れるための支援。です
「生涯現役コース」は65歳以上の高年齢者を雇い入れるための支援です。
「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」は発達障害者または難治性疾患患者を雇い入れるための支援です。
「障害者初回雇用コース」は障害者を初めて雇い入れるための支援です。
「長期不安定雇用者雇用開発コース」は長期にわたり不安定雇用を繰り返す者を雇い入れるための支援です。
「生活保護受給者等雇用開発コース」は自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者等を雇用するための支援です。
以上7つのコースを設けています。
それぞれのコースには、対象者の詳細や受給額、申請に必要な書類等が設定されています。
職場定着支援助成金
職場定着支援助成金というのは、従業員の離職率が高い企業が、雇用管理制度を導入するなどして、離職率を下げるための改善を実施する事業者に向けた支援制度です。
人材が長く企業に定着するよう、魅力ある職場づくりをする事業者に対し、雇用管理の改善を推進する助成金です。
職場定着支援助成金は4つのコースが設けられています。
「雇用管理制度助成コース」「介護福祉機器助成コース」「保育労働者雇用管理制度助成コース」「介護労働者雇用管理制度助成コース」の4つです。
いずれのコースも最終的に従業員が職場に長く定着することが重要で、それをチェックするため、「評価・処遇制度」「研修制度」「健康づくり制度」「メンター制度」「短時間正社員制度」の5つの項目についての管理制度を設けています。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金というのは、企業が雇用している非正規雇用の労働者を正社員にする目的でキャリアアップに向けた取り組みを実施した事業主に対して助成を行なうもので、厚生労働省が実施する助成制度です。
有期雇用の労働者を正規雇用の労働者として雇用した場合は、一人あたり570,000円の助成があります。
また、有期雇用を無期雇用に転換した場合は、285,000円の助成があります。
さらに無期雇用を正規雇用に転換した場合も285,000円の助成になります。
この助成金の申請は1年度に1事業所につき20人までという上限があります。
これによって非正規雇用の労働者が、より安定した正規雇用労働者に転換しやすくなります。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金というのは、従業員に対して、職業訓練による人材開発を事業者が実施した時に掛かる経費や賃金の一部を助成するものです。
職業訓練によって企業の労働生産性が向上した場合、追加で助成金がもらえるのが、ありがたい特徴となっています。
人材開発支援助成金には4つのコースが設定されています。
「特定訓練コース」「一般訓練コース」「キャリア形成支援制度導入コース」「職業能力検定制度導入コース」の4つです。
この助成金を受け取るために行なう人材開発は、企業の業績向上につながります。
スキルのある人材を確保することが困難であっても、既存の従業員のスキルを向上させるために、助成金を活用しましょう。
両立支援等助成金
両立支援等助成金というのは、雇用している従業員が、仕事に加えて育児や介護を両立できるような制度を設計することや、両立する従業員が働きやすい職場環境を整えるための取組みを実施した事業主を支援する助成金です。
両立させる内容に応じて6つのコースを設けて、幅広く支援をします。
仕事と育児や介護を両立させることを会社がバックアップすることで、従業員の定着率の向上や仕事に対する意欲向上につながります。
それが企業の業績アップにもつながることなので、助成金を活用しながら働きやすい環境整備をしていきましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、生産性向上や商品開発、生産プロセスの改善などを実施する際の設備投資等の費用の一部を支援する制度です。
最大1,000万円まで支給される大型補助金なので、中小企業にとっては設備投資による業績向上が期待できるとともに、従業員のモチベーションアップにもつながるため、人気のある補助金制度となっています。
創業・事業継承補助金
創業補助金というのは、新規雇用を担い、新しいニーズを掘り起こして創業する企業を支援する制度です。
事業継承補助金というのは、世代交代等による事業継承をする機会に、事業転換をしたり経営改善を実施する企業に向けた支援制度です。
それぞれの条件を満たす事業者に対して、経費の50%を受給することができる補助金です。
一般社団法人
赤い羽根共同募金
赤い羽根共同募金には、地域の福祉に対する課題解決に取り組んでいる民間団体を支援する仕組みがあります。
共同募金会は企業からの寄付を預かるだけでなく、地域の課題を解決するために活動している団体に対して、審査をした上で助成を行なっています。
さわやか福祉財団
さわやか福祉財団では、時流に即した事業活動の推進を目指す中で、「ふれあい推進事業」「社会参加推進事業」「情報・調査事業」を行なっています。
ふれあい推進事業では、地域を支え合うネットワークの構築を推進し、活動を支援しています。
社会参加推進事業では、職場で活躍している人達や、企業や団体等がボランティア活動を促進する活動などを支援しています。
東京ボランティア・市民活動センター
東京ボランティア・市民活動センターでは、地域の団体独自の助成金などの案内をしています。
例えば、公益財団法人あしたの日本を創る協会では、ゴミの回収や資源のリサイクル活動をするグループや、地域で暮らすための課題解決に取り組むグループなどに、生活学校への参加を促しています。
生活学校に参加したグループに対して、協会から活動経費の助成を行なっています。
CANPAN NPO+
CANPAN NPO+では、NPO法人など主に公益活動団体向けに活用が可能な助成制度が数多くあります。
助成金・補助金を受ける際の注意点
自己資金を用意しない
補助金や助成金が交付されるのは、基本的に事業者が支払いを終えた後になりますから、一旦自己資金で経費を支払う必要があります。
中には半年後に交付される場合もありますから、自己資金ゼロの状態で申請することはできないのです。
助成金・補助金の申請に労力を割きすぎる
助成金や補助金の申請をする時、様々な申請書類を準備しなければなりません。
書類に不備があったらそもそも申請を受理してもらえません。
事業計画書や収支計画書などの普段あまり馴染のない書類を作成しなければなりません。
慣れた人でも数ヶ月の期間を要する書類もあります。
このような申請書類の作成などに、あまりにも多くの労力を割くと、肝心な本業に割く時間が減ってしまいます。
これでは本末転倒です。
できるだけ少ない労力で申請作業ができるように工夫するべきです。
複数受給ができないケースがある
補助事業がたくさんある中で、同時に複数の補助金を受給することができない場合があります。
国庫から出される補助金は似たような目的では重複できない場合がほとんどです。
国と地方自治体であっても、地方自治体の補助財源が国庫とした場合は重複できない場合があります。
しっかりと確認するべき事項です。
必ず助成金や補助金がもらえるわけではない
補助金や助成金の申請をしただけで必ずもらえると思ってはいけません。
様々な書類を審査して、補助事業の要件に合致する場合のみ補助金を受給することができるのです。
そして、補助金の額が大きくなればなるほど採択されるにはかなり高いハードルが待ち受けているものもありますから、申請する補助事業を吟味して申請することも大事なことです。
くれぐれも自己資金でできる範囲の事業を前提に進めることが大事です。
補助金ありきで事業計画を起こす人はいないと思いますが、安易に補助金を頼ることは避けるべきです。
また、事業によっては予算や申請期間がタイトなものも多いので、少しでも早く補助事業の情報を得ることが大事になってくるのです。
できるだけ早めに申請する
色々な補助事業がありますが、その多くが予算内の補助になるため、申請が早い順に交付される場合と、一旦締め切ってから審査を経て採択になる場合があります。
いずれにしても、早めに情報を収集して、速やかに資料を作成したり集めたりしながら、少しでも早く申請できるようにすることが重要です。
せっかく補助金を受給する資格があっても、申請が遅いだけで受け取れない場合もありますから、とにかくやるべきことをスピーディに行なうことが大事です。
まさに時は金なりです。
受給要件をよく読む
急いで申請を行なおうとするあまり、しっかりと受給要件を読まずに進めてはいけません。
せっかくの労力と時間を使って資料集めをしたり申請書を作成したのに、そもそも受給要件に合致しなかったとなれば、骨折り損のくたびれ儲けということになりかねません。
冷静に公募要領を読み、該当することをしっかりと確認するようにしてください。
そして、申請をすると決めたら速やかに行なうようにしてください。
コンプライアンスを確認する
補助金交付申請をする場合、請求書や領収書などの水増しや、架空の経費計上などコンプライアンス違反があっては絶対にいけません。
せっかく新たに会社を起こして活動をしようとする時に不正があると、もともと信用が無い起業家がさらに信用を無くすことになり、当分信用の構築は望めません。
信用が無い企業が活躍するほど世の中は甘くありません。
常に誠実さと謙虚さを持ち合わせて仕事をすることを心掛けるべきです。
助成金・補助金を受けるために
社労士に任せるのが良い
もし、検討している補助事業の受給要件を満たしているとしたら、その後の申請書の作成などの実務を社会保険労務士に任せることを検討するべきです。
自分で申請書を作成したり、資料を取りまとめたりして申請まで自分ですることは手続き作業が煩雑なので、起業したばかりの時は、できるだけ本業に専念するべきです。
本業以外の雑多なことは、特に補助金申請や労務管理などは、専門家である社務士に頼んだ方がずっと効率的です。
社労士は、様々な補助金案件に精通している場合もありますから、頼りになることは間違いありません。
社労士に依頼するメリット
社労士というのは、申請するのが面倒で難しい助成金に関する専門家です。
しかも、助成金の申請書を作成することや行政機関に提出することは、社労士の業務と社労士法に定められています。
従って、報酬を得て助成金の申請業務を行なうことは社労士の独占業務ということが法律で定められているのです。
法定記帳や就業規則の整備ができる
助成金申請で必要になる書類は様々ありますが、雇用に関する助成金を申請する際は、賃金台帳などのいわゆる「法定帳簿」が必要になる場合が多いです。
勤怠管理に関する事項についても同様に必要とされています。
また、従業員が10名以上の事業所は、就業規則を作成して届出をする義務があります。
これらの帳簿類に関する整備については、専門家である社労士に相談するのが良いでしょう。
申請手続きが早く済む
助成金の申請は複雑で提出書類も多く、手続きが煩雑です。
スピーディに申請しないと、早期に支給をしてもらえません。
社労士は助成金申請のプロですから、様々な助成金の案件に精通しているため、段取り良くスムーズに申請手続きをしてくれるので助かります。
業務効率が上がる
助成金申請に必要な経理関係の書類は、直接社労士から税理士に連絡を取ってもらった方が効率も良くて楽です。
いちいち経営者が間に入って書類の受け渡しに関与するとなると、本業に差し支えます。
ましてや、助成金申請の期限間近になると、急ぎのやり取りばかりになるので、本業どころではなくなります。
また、助成金の申請には労務関係の書類も必要になる場合があります。
そのような場合でも社労士に任せておけば本業に専念することができるため、業務効率が上がります。
そして、専門的な用語や書類などがわからない場合でも、専門家同士でやり取りしてくれたら物事がスムーズに運びます。
社労士に依頼するデメリット
助成金がもらえないこともある
助成金というのは、補助金と異なり、基本的には必要書類が揃っていて、申請要件を満たしていれば支給されるものです。
しかし、申請後に状況が変化してしまい、支給要件が満たさなくなれば支給されません。
実施計画に基づいた実施ができなくなれば、助成金が支給されなくなるのは当然です。
そうなる可能性があることを知っておく必要があります。
助成金獲得のための労力がかかる
助成金を獲得するためには、申請書類を作成し必要書類を揃える必要があります。
申請に関する業務一式を社労士に依頼したとしても、会社の重要書類を取りそろえるのは経営者もしくは総務経理の担当者になります。
社労士から書類の提出を求められたら、取り揃えなければ助成金の獲得ができないのですから、やむを得ません。
ただ、その労力は会社側が負担することを覚えておきましょう。
受給までが長い
助成金は申告をしてから実際に支給されるまでの期間が長いです。
実際に受給するまで1年以上かかる助成金もあります。
すぐに支給されると思っている企業も多いでしょうが、現実はそれほど甘いものではありません。
しかも、助成金の支給が決まってから5年間は必要書類の保管が義務付けられている場合がほとんどです。
また、実施状況の確認をするために調査や問い合わせなどに対応をしなければなりません。
多かれ少なかれ業務に支障をきたす恐れもあります。
社労士の雇用費用がかかる
社労士に助成金に関する申請業務を依頼すると、当然報酬が発生します。
社労士に申請業務を依頼することで、申請実務をする労力は減りますが、その対価としての報酬が必要になります。
助成金支給額から社労士の報酬を差し引いた金額が、実際に会社で使える助成金としての金額ということを覚えておかなければなりません。
社労士の選び方
社会保険労務士が行なう業務内容は多岐に亘っていて、社労士によって得意分野やサポートの範囲が異なります。
企業側が依頼したい業務内容をはっきりと明確にしないと、必要な社労士を選ぶことができません。
社労士の専門分野は大きく分けて2種類あります。
一つは「労務関係」で、もう一つは「社会保険」です。
社労士の実績や得意分野を確認して、自分の会社のニーズに合致する社労士を選ぶようにしましょう。
どこまで支援してくれるか
社労士と顧問契約をする予定であれば、具体的にどこまで支援をしてくれるのかを確認して、業務範囲を決めましょう。
知識があっても、手続き実務を行わない社労士もいます。
どこまでサポートしてもらうかについて、しっかりと打ち合わせをする必要があります。
何を強みにしているか
社労士が行なう業務についても強い弱い、得意不得意がありますが、社労士がこれまで携わってきた業界によって、強い分野や業界が異なります。
自社の業界に強い社労士かどうか、業界について精通しているかどうかをチェックすることが大事です。
顧問契約をした社労士が業界のことを知らずに、一から説明するのは会社にとっても時間のロスになります。
業務形態がどうなっているか
社労士が行なう業務形態についても知っておかなければなりません。
労働相談に関する業務について外注することができる社労士事務所なのか、できない事務所なのかは把握しておきたいところです。
また、様々な労働問題に対して、的確なアドバイスをしてくれるコンサルタントとしての役割を担ってくれる社労士事務所なのかを知る事も大事なことです。
業績があるかどうか
社労士が実際に実務をした経験があるのか、どれくらいの業績があるのかを確認しなければなりません。
ただ資格を取得しただけでなく社労士会連合会に登録していることを確認しなければ業務を依頼することができません。
会社の労務管理や社会保険に関する諸問題に対して的確に対応してくれるのは、それなりに実績がある社労士だけです。
その見極めをせずに顧問契約をするべきではありません。
オンライン申請に慣れているか
「労働保険」と「社会保険」に関連するオンライン申請ができるようになってきていますが、まだまだ実績が伴っていないのが現状のようです。
通常の手続きによる申請料金よりもオンラインによる申請料金の方が安くなっているので、できるだけオンライン申請ができる社労士に依頼したいところです。
最先端のITスキルのある社労士であれば、常に最新の情報を得ている可能性が高いので、何かと有益な情報を提供してくれることも期待できます。
事務所の規模が十分であるか
社労士事務所の規模によっても、依頼する業務範囲が異なってきます。
一人で行なっている社労士事務所であれば、業務範囲も得意分野も精通する業種も限定的になります。
一方、数人から数十人の社労士が所属する社労士事務所であれば、精通する業種が広範囲であることが期待できます。
また、大手の社労士事務所には税理士法人を抱えている場合もありますから、総合的に業務委託ができる強みがあります。
事務所が近くにあるか
社労士事務所に重要な相談事があったり、込み入った話をする必要がある場合には、電話で済ますことはせずに、直接面談をすることが多くなります。
その際、近くに社労士事務所があれば時間のロスがなく訪問することができます。
あまりにも遠方の事務所だと訪問時間が無駄になる可能性があるので、気を付けましょう。
レスポンスが早いか
様々な相談や問い合わせに対して、スピーディな対応をしてくれる社労士事務所が望ましいでしょう。
急ぎの問い合わせにも関わらず、何日も返事が無いようだと困ります。
少ない人数で大量の仕事を受けている事務所は注意が必要です。
説明が丁寧かどうか
社労士も人間ですから、個性があります。
話し方が上手な人もいれば話すことが苦手な人もいます。
知識や実務が完璧にできても、人との意思疎通に問題があっては仕事を依頼することは難しくなります。
こちらの相談事や問い合わせに対して、丁寧でわかりやすく説明するスキルが無い人では、相談もできなくなります。
助成金・補助金の活用は税理士に任せる
助成金・補助金に強い税理士の選び方
税理士と言っても、それぞれに得意分野や専門分野があります。
助成金や補助金など資金調達に強い税理士を選ぶには、ポイントを抑えてチェックしながら探すのが良いでしょう。
資金調達の経験が深い
これまで様々な補助金や助成金を含めた資金調達に関わった経験がある税理士がいます。
このような経験豊富な税理士だと、事業計画作成に関する助言や利用できそうな助成金などの情報、その他にも資金調達全般についてのアドバイスを受けることができるかもしれません。
今現在は資金調達の必要がなくても、将来的にアドバイスが必要になる時に心強い味方になるでしょう。
資金調達先で勤務したことがある
資金調達に携わった経験や実績が豊富であることも魅力ですが、それよりも実際に資金調達先である金融機関に勤めた経験がある税理士も魅力が大きいです。
資金調達の相談をする予定の有無に関わらず、そのような経験を持った税理士と付き合うことができるのは大きなメリットになると思います。
「経営革新等支援機関」認定されている
専門知識や実務経験が一定のレベル以上にあることを、経済産業省が認定した税理士や公認会計士などを、中小企業庁が「経営革新等支援機関」として認定する制度があります。
融資をする際に、認定支援機関が事業計画書などを確認することを要件とする場合があります。
補助金や助成金の申請にも同様に認定支援機関による確認が求められることもあります。
そのようなことを考えると、「経営革新等支援機関」に認定されている税理士と付き合うことで資金調達がスムーズにいくことが考えられます。
社労士と税理士双方を活用する
助成金を活用するためには、申請実務を担う社労士と、会社の財務を知り尽くしている税理士が連携を取ることで、よりスムーズな活用が可能になります。
理想的なのは、社労士と税理士が同じ組織に属していることです。
大手の社労士事務所には税理士事務所を抱えているところもあります。
このような事務所であればワンストップであらゆる相談や依頼をすることができます。
そのメリットは大きいと言えるでしょう。
税理士をお探しなら経営サポートプラスアルファにお任せください!
以上の説明をもちまして、補助金や助成金を獲得し、さらに上手く活用するためには、社労士と税理士に依頼するのが良いということが分かっていただけたのではないでしょうか。
そこで、弊社、経営サポートプラスアルファの紹介をさせていただきたいのです。
弊社は、経営・財務のコンサルティングを手掛けるプロフェッショナル集団で、経営・財務に関する提案型の税理士グループです。
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