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法人成りのメリット・デメリット!法人成りするべき個人事業主の特徴とは?

個人事業主として事業を運営している方の中には、一度は法人化を検討した方も多いと思います。

個人事業主と法人には、それぞれ運営上のメリット・デメリットが存在します。

特に、税制上の扱いが大きく異なるため、事業の規模によっては法人化することによって節税効果が見込める場合があります。

一方で、法人化することによって、逆に損してしまうケースもあるため、法人化によってどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。

節税面における法人成りのメリット

給与所得控除が受けられる

法人から給与を受け取るサラリーマンは「給与所得控除」という制度を受けることができるため、給与から一定額が差し引かれた後の金額に所得税がかかります。

一方個人事業主ではこの給与所得控除を受けることができないため、事業利益にそのまま所得税がかかってしまいます。

これは累進課税が適用される所得税においては、大変不利です。

しかし、法人化をして個人事業主が自ら社長となり、自分に役員報酬を支払うという形式をとることで、給与所得控除が受けられるようになります。

家族への役員報酬を経費にできる

個人事業主が自ら社長になり、自身に役員報酬を支払っている場合、その役員報酬には所得税がかかります。

しかし、この役員報酬を家族に分散して振り込むことで、一人当たりにかかる所得税が抑えられ、節税対策になります。

また、法人では役員への給与を「経費」として算入できるため、自分や家族に役員報酬を支払うことで法人利益を帳簿上において減損させることが可能になります。

その結果、事業利益に直接所得税がかかる個人事業主よりも、税率を下げることができるのです。

消費税の控除を受けられる

小規模事業者の支援のため、日本においては年間売上が1,000万円未満の個人事業主、法人には消費税の納税義務がありません。

年間売上が1,000万円を超えた2期後から、消費税の納税義務が生じます。

そのため、法人設立後2年間は2期前の売上が存在しないため、売上に関わらず消費税の納税義務がありません。

この控除は事業者単位で適用されるため、個人事業の売上が1,000万円を超えた2年後に法人化するのが消費税の節税対策としてはベストです。

新たに2年間は消費税の納税義務が発生しないことになります。

ただし、資本金が1,000万円を超える法人の場合は、直ちに消費税の納税義務が発生するので注意してください。

赤字を9年間繰越すことができる

赤字を利益が出た年に繰り越すことによって、表面上の利益を減らすことができ、かかる税金もその分免除されます。

特に、利益変動の大きい事業では赤字の繰越の有無が純利益の額に大きく影響します。

個人事業主の状態では、青色申告をしていた場合でも3年間しか赤字を繰り越すことができません。

一方、法人であれば最大9年間も赤字を繰り越すことが可能です。

特に赤字が長く続いているが、将来的に大きな黒字が見込まれるような個人事業の場合は、法人化することによって将来の税負担を大きく減らすことが可能になります。

ポイント

・給与所得控除や消費税の控除など、法人の優遇措置を利用できる。
・家族への役員報酬を経費にすることで、節税効果が得られる。
・個人事業主が3年間しか赤字を繰り越すことができない一方、法人は9年間も赤字を繰り越すことが可能である。

節税面における法人成りのデメリット

社会保険に加入する必要がある

個人事業主の場合、事業主一人または従業員5人以下の場合は、社会保険に加入する必要がありません。

一方、法人化した場合は、例え社長一人の会社であったとしても、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。

さらに、従業員を雇っている場合はそれに加えて雇用保険、労災保険への加入も義務付けられています

会社設立に費用がかかる

個人事業主の場合は、開業届を出すだけで個人事業主として活動することが出来ますが、法人を設立する場合には費用がかかります

例えば、株式会社では登録免許税と定款の認証手数料で約20万円、合同会社でも登録免許税で約6万円の設立費用が必要になります。

また、現在では、資本金1円から法人を設立することが可能ですが、資本金1円では会社としての信用が低くなってしまうため、最低でも100万円は資本金を用意しておくのが賢明です。

よって、法人を設立する場合、初期費用として100万円前後を見込んでおく必要があります。

赤字でも住民税がかかる

個人事業主の場合、事業所得が赤字であれば、住民税や所得税は発生しません。

一方で、法人の場合は赤字であっても必ず法人住民税7万円を支払う必要があります。

決算作業の工数がかかる

個人事業主の場合、毎年年末に確定申告を行う必要があります。

この確定申告はそれほど複雑ではないので、税理士に頼らず自分自身で行なっている個人事業主の方も多いです。

一方、法人の場合は確定申告の代わりに「法人税申告書」を作成する必要があります。

この法人税申告書は確定申告よりも専門性が高く難しい作業のため、一般的には税理士に依頼することになります。

このため、顧問税理士の顧問料を支払う必要が生じます。

ポイント

・赤字でも最低7万円の住民税を支払う義務がある。
・登録免許税と定款の認証手数料など、会社設立には費用がかかる。
・社会保険への加入や決算作業など、法人としての手続きが必要になる。

法人成りと法人設立は違う?

法人成りと法人設立の違いには何があるのでしょうか。

法人成り

一般的に法人成りは、個人事業主から法人化する場合を指します。

個人事業主の際に扱っていた事業内容や顧客、資金、建物などの固定資産を、法人化した後も引き継ぐことができるのです。

このため、資産や負債を新しく設立する会社に引き継ぐ手続きが必要になりますが、基盤のある状態からビジネスを拡大できるため、スタートしやすい傾向にあります。

法人設立

法人成りが個人事業主から法人化を行うのに対し、法人設立は新規で会社を設立することを指します。

手続きに関しては、法人成りと法人設立に大きな差がありませんが、事業内容や資金集めなど、一から準備する必要があるのです。

ポイント

・法人成りは個人事業主から法人化する場合で、法人設立は会社を新規で設立する場合を指す。
・法人成りは個人事業主の時に培った基盤をそのまま引き継ぐことができる。
・法人設立の場合、事業内容の決定や資金集めなどからスタートする必要がある。

法人成りするべき個人事業主の特徴

どのような個人事業主が法人成りをするべきなのでしょうか。

法人成りするべき個人事業主の特徴を紹介します。

事業利益が500万円以上ある

事業利益が500万円以上ある場合、節税効果を得るために法人化することが有効です。

個人事業主の場合、累進課税が採用されているため、所得税として納める負担が大きくなります。

一方で、法人の所得税にあたる税金、法人税は一定率の税金を支払うシステムです。

法人化した方が節税できる目安が、事業利益が500万円以上を超えたタイミングになります。

社会的な信用が欲しい

個人事業主より、法人の方が社会的信用を得られやすくなります。

このため、取引先を増やしたい場合、法人化した方が契約をスムーズに行うことができると言えるでしょう。

企業の中には、取引を行う対象を法人限定にしているところも存在します。

さらに、銀行から融資を受ける際も法人として確立していた方が、信用を得やすく、審査に通りやすくなる場合が多いでしょう。

人員を増やしたい

事業拡大に伴って人員を増やしたい場合、法人の方が人材を確保しやすくなります。

法人化すると、社会保険に加入することが求められますが、従業員にとっての福利厚生を充実させることができるのです。

個人事業主の場合、小規模でビジネスを行っているところも多く、社会保険に加入していない場合もあります。

採用を行う際も、法人の方が社会的信用を得やすく、求人が集まりやすいのです。

ポイント

・事業利益が500万円以上の場合、法人化することで節税効果を得られる。
・社会的信用を得られやすくなるため、取引をスムーズに行うことが可能である。
・人員を増やしたい場合、社会保険に加入することで福利厚生を充実させることができる。

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後悔しない会社設立のために

今回は、法人化するメリット・デメリットとその適切なタイミングについて解説しました。

基本的には事業所得が500万円を超えていれば、法人化を検討するフェーズと言えますが、真に法人化すべきかどうかというのは、会社のビジョンや経営状況、事業領域などによって異なり、一概に事業所得の多寡だけで説明できるものではありません。

事業所得が300万円でも、法人化したことで信頼性が増して一気に売上が伸びる場合もあります。

一方で、逆に事業所得が十分にあっても法人化により節税面で損をしてしまうこともあるでしょう。

このように、会社設立をするか否かの判断は、様々な変数を考慮して慎重に行うことが非常に大切です。

会社設立や税制に関する知識が薄いために、安易な会社設立をして後悔する個人事業主の方は非常に多いです。

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