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会社設立する際の住所の決め方!オフィスの形態や選び方を解説

法人登記する際の住所を決めるときは、様々な選択肢があります。

自宅、賃貸オフィス、レンタルオフィスなどです。

今回は、それぞれのメリット・デメリットを解説するとともに、法人登記をスムーズに行う方法を紹介します。

法人登記する際の住所とは

基本的にはどこでも可能!

会社を設立する際には、登記書類や定款に本店所在地を記載する必要があります。

本店所在地とは、会社の住所です。

商業登記法上は住所に関する制限はないため、基本的には自宅、賃貸オフィス、バーチャルオフィスなどどのような住所でも問題ありません

会社名、住所が重複してはいけない

基本的にはどの住所を使っても会社を登記することが可能ですが、唯一「同一本店同一商号の禁止」という規制があります。

これは会社名が全く同じでかつ住所も全く同じ場合は登記できないというルールですが、故意に重複させない限り起こる可能性は限りなく低いため、考慮する必要はないでしょう。

レンタルオフィスで登記した場合には、稀に起こりえる可能性があるため、既にその住所で登記されている会社名を事前にチェックしておく必要があります。

登記後の住所変更は費用がかかる

登記後に住所変更を行う場合は、手数料などを含めて10万円前後の費用がかかります。

どの住所を使っても良いとはいえ、むやみに住所変更をする必要がない利便性の高い住所を十分に考えて設定することが大切です。

自宅にする場合

どこでも登記可能であることより、法人登記する住所として、自宅を選択する人は多いです。

まずは、自宅に設定する場合のメリット・デメリットを解説します。

[メリット1]初期費用を抑えることができる

会社の設立当初は、オフィスの家賃というのは最も大きな出費といっても過言ではありません。

しかし、自宅をオフィスに設定することで、賃料などの経費を大きく抑えることができます。

[メリット2]賃料を経費にできる

会社の住所を自宅にすると、自宅の家賃や自宅で使う光熱費の一部を経費として計上することができます。

これにより法人税の節税が見込めます。

[デメリット1]プライバシーの面で不安が大きい

会社の住所は、ホームページや名刺などで公開するのが一般的です。

この時明らかに自宅と分かるような住所が記載されている場合、プライバシー面、防犯面で不安が生じてしまいます。

飛び込み営業をしているような会社から急な訪問があった場合、家族などにも影響が生じます。

プライベートと仕事を分けたい人には、自宅を会社にするのはおすすめできないと言えるでしょう。

[デメリット2]実務上での不都合が生じる

自宅をオフィスに設定している場合、居住スペース以外にある程度の空間がなければ取引先を招いたり、従業員を雇うことは困難です。

このため、自宅をオフィスに適した形にリフォームしたりオフィスを移転しない限り、ビジネスの拡大が見込みづらいというデメリットが生じます。

[デメリット3]社会的信用が得にくい

自宅をオフィスに設定することで経費を節約することができますが、これは「会社にキャッシュがない」と外部に判断されるリスクがあります。

このため、社会的な信用を気にする大企業などと取引関係を結めない可能性が高いです。

自宅にする場合のまとめ

メリット…オフィス賃料を節約できる。

デメリット…プライバシーや実務上での不安が大きい。

賃貸ビルやマンションにする場合

株式会社として最も多いのが、賃貸ビルやマンションにオフィスを借りる場合です。

企業としては、最終的に都心の賃貸ビルにオフィスを構えることが一つの目標になるでしょう。

[メリット1]ビジネスの拡大が見込める

会社独自のオフィスがある場合は執務スペースを設けることができるため、実務をスムーズに進めることができます。

また来訪できるオフィスがあることで、顧客や取引先からの信用を得やすいです。

このため、自宅や後述のレンタルオフィスと比較して、ビジネスの拡大が見込みやすいというメリットがあります。

[デメリット1]費用がかさむ

一番大きなデメリットは、やはり費用がかさむことです。

新たに賃貸物件を契約する場合、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用が必要になる上、毎月賃料を支払わなければいけません。

特に都心のビジネス街にオフィスを構える場合は狭い物件であっても賃料が高く、会社の資金を圧迫することになりかねません。

[デメリット2]法人禁止のマンションもある

オフィスビルではない普通の賃貸マンションでは、そもそも法人の住所にすることが規約で禁止されているマンションもあります。

このため、契約前に事前に法人利用が可能か確認しなければなりません。

たとえ法人利用が認められたとしても追加の敷金などを要求されるケースも多く、予期せぬ初期費用が発生するリスクは覚悟しておかなければなりません。

賃貸ビルやマンションにする場合のまとめ

メリット…ビジネスの拡大が見込める。

デメリット…費用がかさみやすい。

レンタルオフィスにする場合

レンタルオフィスとは、机椅子などの業務用家具に電話やインターネットなどの通信設備など、必要最低限の備品が揃えられたオフィスのことを指します。

[メリット1]費用を抑えられる

一般的な賃貸オフィスでは初期費用として最低でも50万円程度は必要になりますが、レンタルオフィスでは10万円程度で済ませることができます。

また、月々の家賃も安いため、会社の運転資金を圧迫することも少ないです。

さらに、レンタルオフィスではインターネットやビジネス用品を無料・格安でレンタルできるケースも多く、非常にコストパフォーマンスが高いです。

[メリット2]他の経営者との交流ができる

レンタルオフィスには、様々な業種の会社が多数入居しており、交流スペースが設けられている場合も多いです。

このため他の経営者との出会いの機会も必然的に多くなり、ビジネスの拡大に繋げることができます。

[デメリット1]スペースが狭い

レンタルオフィスは執務スペースが非常に狭いため、基本的には社長一人の会社、またはメンバーが数人のごく小規模な会社向けになっています。

このため、ビジネスがすぐに軌道にのって社員を増やすことになった場合、早々に移転しなければなりません。

また、打ち合わせも社外で行わざるを得ないため、機密性の高いミーティングの実施場所の確保に困る可能性があります。

[デメリット2]住所が突然なくなるリスクがある

レンタルオフィスは、当然ながらレンタルオフィス事業を営む会社が運営しています。

このため、レンタルオフィス事業者が倒産した場合などは、会社の意向に関わらず移転を余儀無くされるリスクがあります。

レンタルオフィスにする場合のまとめ

メリット…賃貸オフィスと比べて費用を抑えられる上、経営者同士の交流が見込める。

デメリット…スペースが狭く、住所が突然なくなるリスクがある。

バーチャルオフィスにする場合

オフィスとしてバーチャルオフィスを選ぶ場合は、業務上オフィススペースを必要としない、という前提が必要です。

実際に働く場所が自宅やクライアント先の場合、オフィススペースが必要ありませんので、バーチャルオフィスを有効活用することができます。

とはいえ、ビジネスを行う上で住所はとても大切になりますので、その住所をバーチャルオフィスで借りることになります。

バーチャルオフィスの基本性能

バーチャルオフィスの基本的な機能は以下の4点となっています。

郵送物の受け取りと転送

事業をスタートすると色々な郵便物が届くことになりますが、バーチャルオフィスでは基本的に郵便物は受け取ってもらえます。

また、転送にも対応しているケースが多くあります。

本人限定郵便や食品などは受け取ることができないケースがほとんどです。

バーチャルオフィスが受け取ったものを、どのように対応してくれるのかは会社によって様々なので、事前にチェックしておきましょう。

電話番号やFAX番号の提供

電話番号はビジネスを行うにあたって看板のようなもので、信用を得るためにとても大事なものとなっています。

代表電話番号が携帯電話の番号だと相手に与える印象がよくありません。

多くのバーチャルオフィスでは、ビジネスを行う上で欠かせない電話転送サービスやFAX転送サービスを提供しています。

「転送サービスの内容」「電話番号の持ち込みと持ち出し」「通話にかかる費用」など、基本的なサービス内容をしっかりと確認しておきましょう。

会議室の利用ができる

オンラインでの会議が増えているとはいえ、対面での会議が必要なケースも多くあります。

バーチャルオフィスのサービスでは、会議室を提供するサービスも多くあります。

取引先を会議室に招く場合は、事前にどのようなサービスを提供しているのか、しっかりと確認しておきましょう。

「予約状況の確認」「妥当なスペースが確保されているか」「プロジェクターなどの貸し出し備品」「アクセス環境」最低でもこのような内容はチェックしておきたいところです。

リアルスペースの貸し出し

バーチャルオフィスは、リアルな場所を提供するサービスではありませんので基本的に作業スペースの貸し出しは行っていませんが、オプションとしてデスクを貸してくれるバーチャルオフィスも存在します。

ちょっとした作業スペースがほしい時に重宝しますので、必要であればオプションサービスとして追加してみましょう。

バーチャルオフィス とレンタルオフィスの違い

バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いは簡単にいうと、オフィス設備や作業スペースの有無です。

法人設立をする時の、法人登記や口座開設の審査において、バーチャルオフィスよりもレンタルオフィスのほうが有利に進むことが多いです。

バーチャルオフィスのメリット・デメリット

メリットは、「起業するために必要な要素を安く借りることができる」という点です。

住所や固定電話といった会社の看板となるものを一時的に使うことができます。

デメリットは「郵便受取まで間隔が空く」「住所を法人登記に使えない場合がある」「法人口座開設の審査がレンタルオフィスに比べると厳しい」という点が挙げられます。

メリットよりデメリットが多くなっていますが、初期費用が抑えられるという点は、スタートアップ企業にとっては大きなメリットです。

現状と照らし合わせた上で、最適な選択をしましょう。

バーチャルオフィス を利用するべき人

メリットとデメリットを踏まえた上で、「バーチャルオフィスを利用するべき人」のポイント4点を以下の通りお伝えします。

オフィスを必要としない人


自宅やクライアント先での仕事がほとんどだけど、法人登記ができる場所を探している方、またはしっかりした住所を公示したい方はバーチャルオフィスを活用できます。

ビジネスの展開次第では方向転換する必要も出てくるかもしれませんが、とりあえず会社を存在させたい場合にバーチャルオフィスはピッタリな選択です。

自宅が法人登記出来ない人

賃貸の場合、契約の関係で法人登記ができないケースがありますので、そんな時はバーチャルオフィスを有効活用しましょう。

勝手に法人登記をしてしまいマンション規約違反で手を煩わすような事になると、ビジネスにも影響が出てしまいます。

最悪、転居を強いられることもありますので法人利用できないマンションの場合はバーチャルオフィスを使うべきです。

起業したばかりなどで資金があまりない人

起業したばかりの頃は、なにかと費用がかかってしまいます。

その上事務所を借りるとなると、さらに費用がかさんでしまい運用を圧迫してしまいます。

初期費用が思いの外かかってしまい、資金繰りが難しい場合はバーチャルオフィスで一時的にしのぎましょう。

起業の初期段階では必要なところにだけ費用をかけるべきです。

指定の場所に住所が欲しい人

住所は自社のイメージ、ブランディングに関わってきます。

例えば、IT企業であれば渋谷、のように住所にはイメージがついています。

ビジネス業態によっては都心に住所がほしい場合もあると思いますが、そんな時はバーチャルオフィスを活用しましょう。

バーチャルオフィスであっても、自社サイトや名刺には、都心の住所を乗せることができますので、相手に与えるイメージにも大きく作用します。

オフィスの選び方

業務拡大にあたって新しくオフィスを選ぶ場合、どのような基準で選ぶとよいのでしょうか。

起業する時のオフィスの選び方を5つの項目に絞って解説していきたいと思います。

自社の業態や目指す方向性によってさまざまな選択肢がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

立地

オフィス選びのもっとも注目すべきポイントは立地でしょう。

代表となる拠点を築くわけですから、慎重に選びたいところです。

オフィスは従業員の皆さんが日々通勤する場所です。

通勤のアクセスが悪いと求人を出しても人が集まらない可能性があります。

毎日通う場所なのに通いにくいと仕事選びの選択肢から外されてしまいます。

実務上でもアクセスの良さは大事です。

取引先の来訪、またはこちらから相手先へ出向く場合もアクセス良好であることにこした事はありません。

駅から近く、複数の路線を使うことができ、駐車場があるような場所だと申し分のない最高の立地です。

住所は企業のイメージにも関係していますので、目指すべき方向性やブランディングのビジョンが明確であれば、将来を意識した立地を考えることも大事なポイントです。

アパレルブランドであれば、青山、IT企業であれば渋谷、金融ベンチャーは六本木など定着したイメージがありますので、当てはまるようであればそのような立地を検討してみるのもいいでしょう。

設備や広さ

適切な広さを備え、設備が充実したオフィスを選ぶようにしましょう。

自社にとって最適な広さであり、過剰すぎず、過小すぎない設備であることが望ましいです。

将来的に社員を増やしていくのか、どのような事業を展開していくのか明らかにしておくとスムーズにオフィス選びを進めることができます。

空調、男女トイレの別、セキュリティの高さなどが見るべきポイントとして挙げられます。

個人情報を扱うような業態であれば、もっとも重視するべきはセキュリティでしょう。

警備には機械警備と、常駐警備があり異常があれば警備会社から駆けつけてくれるサービスもあります。

また、入退室を有人で管理してくれる物件もあり、必要に応じて適切なサービスを選ぶようにしたいところです。

適切なオフィススペースと設備は、新たに人を雇う時に、とても大事な項目となります。

求職者にとって、最低限の要件を満たす職場でないとだれも働いてくれませんのでおろそかにせずにしっかりと見定めたいところです。

管理面

オフィスビルの管理状況もしっかりと確認しておきましょう。

外観に惑わされてついおろそかにしてしまいがちなポイントです。

立派な外観だからといって、管理も抜群にいい、というわけではありません。

管理状況は実際に見てみないと分からないことも多くありますが、テナントの入居の際に見ておきたいポイントがあります。

「ゴミの処理」と「入退館の制限」です。

オフィスのゴミは家庭用一般ゴミとことなり、自治体の回収対象外となります。

そのため、廃品回収業者と契約して回収を依頼するのですが、その際、ゴミの置き場所が問題となります。

ゴミの捨て場所があるところもあれば、ないところもあります。

ビジネスにゴミの処理はあまり関係がなさそうですが、定期のこととなりますので抑えておきたいポイントなのです。

ゴミ置き場がない物件だと、近隣トラブルを招く可能性もあります。

ゴミ置き場の有無は確認しておきましょう。

入退館制限は、仕事をするにあたってとても大事なことです。

多くの物件では24時間入退室可能ですが、昼間と夜間の出入り口が異なるケースが多くあります。

来客対応は何時までなど、細かい事をしっかりと確認しておかないと思わぬところで制限を受けてしまうことになるかもしれません、入退館のルールを把握していないと、取引先にも悪い印象を与えかねませんので抜かりなく確認しておきましょう。

コスト

できれば設備が整った快適なオフィスで仕事がしたいものですが、同時にコスト面も考慮しなければいけません。

現実的にはいい物件はそれなりの賃料や管理費がかかるものです。

そんな中でも、管理費が安い、光熱費や通信量が込となっている、契約期間が長めなど、借主にやさしい物件も存在します。

個人の力では、優良物件を探し出すのに限界がありますが、仲介会社の協力を得ると案外探し出せたりするものです。

オフィスの移転に強い仲介会社をぜひ探し出しましょう。

色々な希望も聞いてくれますのでオフィス探しの心強い味方となります。

定期的に声を掛けて、懇意になっておけばいい物件が空いた時に教えてくれるでしょう。

いいオフィス探しは、いい仲介会社選びからですね。

入居状況

住居用の賃貸を借りる時は、先に入居している人がどんな人か気になるものですが、テナントの場合はそれほど気にしない事も多いようです。

生活をするわけではないとはいえ、長い時間を過ごすオフィスになりますので、他のテナントさんを全く気にしないというのは考えものです。

問題のあるテナントが入っているビルに入居しているだけで、風評被害をうけ、評判を落とすことも考えられます。

複数テナントの入居による悪影響は「トイレ、パントリーの共用」「他のテナントの客層が自社合わない」「となりの営業会社が軍隊式でうるさい」「喫煙のマナーがわるい」などが挙げられます、心当たりのある方もおられるのではないでしょうか。

よくあるのが、トイレやパントリーの利用マナー、喫煙マナーのトラブルなどです。

喫煙に関しては最近ではビル内で吸う場所が減っているために一箇所に人が集中してしまい、喫煙所から悪臭を放つことでクレームに発展します。

パントリーを汚く使うというクレームは、かなり頻繁に耳にするトラブルです。

残飯処理の流しの使い方や歯磨きをする事についての内容をよく耳にします。

ビジネス利用についても、すでに入居しているテナントさんの状況は確認しておくことが望ましいです。

他のテナントとの共用部があれば、かなりの確率でクレームが発生することが考えられます。

余計なことで手間をとられないようにしたいところです。

会社の転居について

会社の事務所移転は住宅の転居とことなり、必要な手続きが多くあり、内容も複雑です。

知らずに軽く移転してしまうと後々大変なことになります。

以下、移転前から準備できる手続きを中心にまとめていますので移転を考えている方はぜひ、参考にどうぞ。

必要な手続き

必要な手続きは7項目となります。

手間がかかる上に項目も多いので一つずつクリアしていきましょう。

転居届

郵便局に「郵便物届出変更届」を提出します。

これは、一般の住居用住宅でも同じですね。

郵便物が転居後の住所へ届くように設定してもらいます。

転居後に、最寄りの郵便局で手続きしましょう。

提出の時に、届出人と法人の関係性を証明できるような書類が必要です。

「転居届提出者氏名」欄には法人の代表者名を記入しましょう。

本店・支店移転登記申請書

法務局で移転登記申請を行います。

申請の前に本社移転の際の移転登記が必要かどうか調べる必要があります。

本社移転は場合によっては申請しなくてもいい場合があるためです。

定款に記載する本社の住所は、市町村までとされており、実際、市町村までの記載しかしていない場合、同じ市町村内での転居であれば申請の必要がありません。

定款に最後まで住所の記載をしている場合は申請しなければいけません。

移転登記に必要な書類ですが、同じ法務局の管轄と管区外への移転では、必要な書類が異なります。

同じ管轄内で手続きする場合は、「移転登記申請書」「株主総会議事録」「取締役会議事録」の3つの書類が必要です。

移転登記申請書については、決められたルールや書式に沿って作成したものを用意します。

法務局の管区外に移転する場合は、さらに「移転登記申請書」「印鑑届書」が追加で必要になります。

移転登記申請書は2枚必要です。

登録免許税の費用が、管轄内では3万円、管区外では6万円かかります。

もし、司法書士へ書類の作成を依頼した場合は、司法書士への報酬も費用となります。

移動届出書

法務局での手続き以外に各種税金、年金関連の手続きが必要です。

この手続の中で本社の住所が記載された登記事項全部証明書が必要なケースもあるので、本社移転登記の手続きが終わったら法務局で取得しておきましょう。

必要な手続きは「税務署にて異動届出書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」「都道府県事務所にて法人の名称変更等の報告」「市区町村役所と年金事務所にて異動届」の3点です。

自動車保管場所証明申請書

会社で車両を保有している時は、駐車場の移転手続きも必要です。

「自動車保管場所証明申請書」を警察署に提出しなければいけません。

車庫証明がないと車の保有が認められませんので、できるだけ早めの手続きが必要です。

ナンバープレートを変更しなければ行けない場合は、「安全運転管理者変更届」を提出します。

都道府県内の移転であれば、管轄の警察署に、変更届と安全運転管理者変更届を提出します。

他の都道府県に移転する場合は、解任届を移転前の警察署に提出し変更届とは別に選任届を移転先の公安委員会へ提出します。

適用事業所在地・名称変更届

健康保険料や年金についての手続きは「適用事業所所在地・名称変更届」の提出を5日以内に済ませなければいけません。

健康保険や年金を正しく運用するために、大切な手続きとなりますので抜かりなく行いましょう。

提出する時は、移転先の住所がわかる法人登記簿謄本と物件の賃貸借証明書が必要です。

わざわざ出向くのは、待ち時間もあり大変なので、郵送や電子申請を活用しましょう。

書類は、「管轄内用」と「管轄外用」の2種類があります。

自分が該当するほうを選び、間違えないようにします。

労働保険所在地等変更届

移転に伴い、ハローワークに「労働保険所在地変更届」を提出しなければいけません。

変更が発生した翌日から10日以内に提出することになっています。

移転前でなく移転後に管轄のハローワークへ届け出る事を覚えておきましょう。

事業主がわざわざ出向く必要はなく、社会保険労務士による代行が可能社会保険労務士による代行が可能です。

従業員の労働環境を整える意味合いもこめて、早めに提出しておきましょう。

こちらの手続きは、法人の場合は手続き不要です。

雇用保険事業主事業所各種変更届

「雇用保険事業主事業所各種変更届」はその名のとおり、雇用保険に関する書類です。

こちらの書類も、転居の翌日から10日以内に管轄のハローワークに提出しなければいけません。

必要な添付書類は、適用事業所台帳、変更の事実が確認できる書類(例:登記簿謄本、賃貸借契約書の写しなど)、「労働保険名称、所在地等変更届」の写しです。

昨今、ハローワークでは電子申請を奨励しており、こちらの手続きも電子申請が可能です。

出向くのはかなりの手間になりますので電子申請で済ませてしまいましょう。

こちらの手続きは法人の場合は手続き不要です。

オフィス移転のメリット・デメリット

手続きが煩わしく、事業主側から見ると大変なオフィスの移転ですが、具体的にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

以下、具体的にみていきましょう。

メリット

もっとも大きなメリットは、新しいオフィスが対外的なイメージアップに繋がることと、社員のモチベーションアップや信用力アップにより人材が集めやすくなる、という点が挙げられます。

この効果を狙ってオフィスの移転を行うわけですから、当然の効果ということができますし、効果が出なかったらオフィスの移転そのものが失敗ということになります。

最近ではオフィス不要論を目にすることが増えましたが、リアルオフィスの存在は今でも大きな信用力アップに繋がりますし、テレワークよりも出社したほうが、生産性が上がることも考えられます。

オフィスがなくても仕事ができる現状を考えると、リアルオフィスを持つ場合、生産性が上がる、創造性をサポートしてくれるなど、リモートワークにはないメリットを持ったオフィスでないと意味がないともいえそうです。

デメリット

デメリットは、前述の項目で長々とお伝えしてきた手続きの煩わしさです。

最近は電子申請がメインになってきたとはいえ、用意して申請するのはかなりの手間となります。

出向く必要ができたしまった場合、待ち時間などを合わせると膨大な時間を消費することとなります。

事務的な手続きの他に、オフィスそのものの、移転作業も行わないといけません。

仕事を中断しなければいけませんし、これもかなりの手間とコストがかかります。

これだけの手間とコストがかかる移転ですが、このデメリットを超えるメリットが考えられなければオフィス移転は時期尚早なのかもしれません。

日本に住所がなくても大丈夫?

海外のほうが法人税制の優遇があるし、できれば海外に法人登記したい、と考えている方もおられるのではないでしょうか。

確かに日本の法人税よりも海外の税制のほうが法人にやさしいので魅力的ではあります。

しかし、国内の法人登記と比べると手続き上、さまざまな難関があります。

代表取締役の住所が海外でも認められるようになりましたが、この件と合わせて海外での法人設立について解説していきたいと思います。

海外の登記について、できるだけ詳しく解説しておりますので、海外法人登記を思い立った時は是非ご参考にごらんください。

住所要件の撤廃

以前は、株式会社の代表取締役のうち、少なくとも1名は日本に住所がないといけないと決められていました。

この取り決めのため、海外法人が日本に子会社をおく際の障壁となっていたのです。

日本企業が海外企業との競争にさらされないように、意図的に守っていたと考えられます。

平成27年3月16日、『内国株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記の申請の取扱いについて』という法律が制定され、長きにわたる日本進出の障壁が撤廃されました。

日本に住所がない代表取締役を選出することも可能となっています。

日本の国籍がなくても会社設立できる

取締役の国籍については、以前から制限はありませんので外国人が取締役であったり、取締役が全員外国人という会社を設立することもできます。

旧来の住所要件が撤廃されたことにより、わざわざ日本に転勤しなくてもよくなった、ということです。

サイン証明書が必要

海外での法人登記は日本での法人登記と違う点がいくつかあり、その一つがサイン証明書です。

代表取締役が就任承諾書や印鑑届出書に署名している時は、その署名が本人のものであることを証明するために本国官憲の作成した証明書(いわゆる署名証明書又はサイン証明書)を添付しなければいけません。

サイン証明書は日本の印鑑証明書と同じ効力をもちます。

国内の銀行口座がない場合は委任状を用意

資本金は基本的に、発起人又はその委任を受けた設立時取締役の銀行口座に払い込むことになるのですが、その時の入金先口座は、原則として日本にある銀行の口座でなければいけません。

取締役の全員が日本に住所がない場合、 日本の口座を持っている人はいないと思います。

その場合、取締役以外の人に払込金の受領権限を委任することができます。

一時的に担当者を立てて、そちらの口座でまかなうということです。

この場合、委任を明確にする委任状を併せて添付して申請します。

海外で法人登記する場合

海外へ進出する場合、会社の形態は現地法人(子会社)、支店、駐在員事務所などがあります。

どの形態であっても法人登記を申請しなければいけません。

法人登記については国際的な決まりがありませんので、その国の決まりに合わせて申請を行います。

なにも分からない状態で、色々と調べつつ申請するのはかなりの労力を伴うことが予想されます。

外国の法人設立の参考例として、シンガポールとインドの概要を見ていきましょう。

シンガポール

シンガポールには4つの会社形態があり、もっとも一般的な形態は有限責任会社となっています。

有限責任会社の中でも、株主数が50人以下で株式譲渡制限がない非公開会社と株主数が50人以上の公開会社に分かれています。

登記申請手続きには、会計企業規制庁の「BizFile」を使って申請することができます。

デジタル化が進んでいるシンガポールらしく、電子申請がスタンダードとなっているようです。

申請は2段階となっており、1段階目では名称の申請を行い、申請が通って許可を受けた場合、15シンガポールドル(約1,200円)支払います。

その後の法人設立手続きですが、設立には株主が1人以上、シンガポール居住者の自然人が1人以上必要です。

登記料は300シンガポールドル(約24,000円)となっており、「会社の事業内容」「取締役と株主の詳細」「資本金額」「会社の定款」がわかる書類が必要です。

インド

インドの場合、会社の形態は、株式有限責任会社・保証有限責任会社・無限責任会社の3つとなっており、非公開会社・公開会社に分けられています。

公開会社と非公開会社で取締役の人数や株主の人数が異なります。

非公開会社は株主2人以上200人以下、取締役は2人以上で、1人は居住取締役(前年度1~12月に182日以上インドに滞在)とされており、公開会社は株主は7人以上、取締役は3人以上で、1人は居住取締役(前年度1~12月に182日以上インドに滞在)でなくてはならないとされています。

法人登記の手続きは2段階に分かれており、企業省のWEBサイト「RUN」から申請します。

第1段階では社名を申請し承認を受けます。

申請料は1,000ルピー(約1,600円)で有効期間日数は20日間です。

第2段階は、会社設立証明書を取得します。

必要な書類は「基本定款」「付属定款」「管理職認識番号(未取得の3名以下の管理職(取締役)がいる場合)」です。

用意する書類は少しわかりにくいですね。

付属定款では、会社形態、会社の規模によって提出書類が異なる場合あります。

非公開会社・公開会社ではともに同じ手続きを進めます。

専門家への依頼もアリ

シンガポールとインドの法人設立の手順をみてきましたが、手順や用意する書類など法人設立手続きをどう進めていいのかとてもわかりにくいです。

まず、その国の基本的な会社法を理解しなければならず、極めて難解です。

海外の法人登記については専門家がいますので、その人達に依頼をしたほうが効率的でコスパがいいかもしれません。

しかし、書類の用意などは自分でやらなければいけませんので、その国の基本的な会社法は把握しておいたほうがいいでしょう。

融資や補助金が住所で決まる?

融資とは、個人事業主や中小企業が利息ありで金融機関から融資を受けることです。

一方、助成金とは、雇用や生産性を上げるなど、一定の使い道に当てはまる事業主に対して国から支給される給付金です。

給付なので返済はしなくてもいい資金となります。

多くのケースは、かかった経費を後で申請し、承認のあとキャッシュバックされる仕組みです
住所によって補助金の内容が異なることや、場合によっては融資の対象とならないこともあります。

融資を受ける段階で、貸契約書に事業利用NGと記載されているのに、法人登記していると融資の審査で否決になるケースがあります。

融資の時に対象の信用組合、信用金庫が本店の地域外にある場合は、融資を受けられないことがあります。

信用組合・信用金庫は、地域の中小企業や個人を組合員とし、相互扶助を目的とした非営利の金融機関です。

したがって、その地域にある信用組合や信用金庫でないと利用ができないというわけです。

正しい住所でなければ融資が受けられない

融資を前提にした場合でも、事業利用NGの場所で法人登記をしていると審査の時点でNGとなることがある、という内容は前述しましたが、なぜ分かってしまうのでしょうか。

それは融資担当者が現地に赴き、所在を確認するからです。

融資を受ける立場なのに、自分の事業が正しく運営されているか分かっていないのはそもそも融資を受けるのが難しいです。

該当の自治体に本店、本社がないと申し込みたい制度融資の対象にならない事もあります。

制度融資とは、自治体、金融機関、信用保証協会が連携して行う融資の事です。

自治体には、個人事業主や起業を支援する色々な補助金や融資制度があります。

スタートアップの時期にはとても助かる制度ですが、正しい申告をしていないと利用できません。

せっかくのいい制度が利用できなくなりますので、ビジネス運用は正しい決まりにのっとって行うようにしましょう。

→事業利用NGの場所で登記していた場合

住所によって受けられる補助金が変わる

国の補助金であれば全国どこでも一律に申請することができますが、自治体が主導している補助金は当然その自治体に本社、本店がないと受けることができません。

以下、東京と大阪の助成金制度をみていきましょう。

東京都で受けられる補助金

都内で起業するにあたって、受けられるおもな融資、助成制度は「クラウドファンディングを活用した資金調達支援」「女性・若者・シニア創業サポート事業」「東京都中小企業制度融資『創業』」となります。

ほかには、政策金融公庫などと連携した融資制度もあります。

クラウドファンディング支援は、クラウドファンディング事業者に支払う手数料の補助や、初心者向けの相談を受けることができたり、セミナー等を利用できたりする支援です。

クラウドファンディング手数料の補助金上限は30万円です。

クラウドファンディングの手数料は、集めた金額の10%~20%なので、おおよそ300万円程度の資金調達であれば、補助金でまかなうことができます。

東京では、若い人以外にもシニアの方や女性の起業を支援する助成金も用意されています。

幅広い人に向けての支援を行っていますので、興味のある方は公式サイトにて確認してみましょう。

大阪府で受けられる補助金

大阪でも起業するにあたっての補助金があります。

東京都よりも種類は多いのですが、主な補助金制度は「創業補助金」「地域創造的起業補助金」「大阪起業家スタートアップ補助金」の3つです。

他にも業種に合わせた補助金などがあります。

大阪起業家スタートアップ補助金は、優秀なプレゼンテーションを行った人に補助金が与えられるコンペ形式の内容になっています。

参加資格は、これから起業する方、大阪府内の事業者です。

スタートアップ会社へ行うピッチの自治体版です。

自治体相手でも、やることは代わりがありませんので、自分が考えているビジョンを明確にして、成し遂げたい事をしっかりと訴求できるようにプレゼンの構想を練って挑みましょう。

イベントやピッチコンテストの情報は、オール大阪起業家支援プロジェクトというサイトに詳細が発表されています。

セミナーや交流会の情報も掲載されていますので、資金調達を考えている方はこちらのサイトをマメに確認するといいでしょう。

受けたい補助金のために本店所在地を決める、という事はないと思いますが、都道府県のように広いエリアでなく、市区町村の補助金で魅力的な内容であればそのために場所を検討するのもアリかもしれません。

本社の住所を決める時にあらゆる要素で考えて決め手にかける場合は、地域ごとの補助金の内容を考慮してみてはいかがでしょうか。

法人登記のお手続きでお困りなら

会社を設立する場合の住所は、同一本店・同一商号の禁止のルールさえ守れば、基本的にはどこでも可能です。

しかし、適当に場所を選んでいいという訳ではありません。

たとえば積極的にビジネスを拡大したい人が自宅をオフィスにしてしまうと、取引先などからの信用が得づらく不利になってしまいます。

一方で運転資金が乏しい人がいきなり賃貸オフィスを借りてしまうと、会社の資金を圧迫することになります。

会社の住所を決める際は、しっかりとメリット・デメリットを理解して設定する必要があるのです。

住所の他にも、会社を設立する際の決定事項・手続きは非常に多く、どれも慎重に進める必要があります。

これらの手続きを丸投げできるのが、経営サポートプラスアルファです。

経営サポートプラスアルファを利用すれば最短2日で会社設立が完了できる上、企業経営の専門家集団に経営の相談をすることができます

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