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資本金は1000万円以下にするべき!消費税を節税できる方法を解説

会社を設立する際、資本金額を設定する必要があります。

資本金額はいくらでも良いというわけではなく、設定額によって様々なメリット・デメリットが生じます。

今回は資本金額を1000万円以下にするか、以上にするか、メリット・デメリットを解説します。

実は、1000万円というのは非常に重要な指標であり、それによって、起業後2年の消費税支払い額が決まります

資本金を1000万円未満にするメリット

まずは、資本金を1000万円以下にするメリットを解説します。

消費税が最大2年間免除される

会社設立時に資本金を1000万円未満にすると、最低でも1年間、最大2年間消費税の納税義務が免除されます。

消費税が1年間免除されるケース

中小企業の事業活動の支援を目的に、資本金1000万円未満で設立された会社を設立は事業開始の初年度は消費税の納税義務が免除されます。

資本金が2年間免除されるケース

資本金1000万円未満かつ、設立後6ヶ月間の課税売上高も1000万円未満の場合は、設立後2年間は消費税の納税義務が免除されます。

特に個人事業を法人化する場合、設立後6ヶ月間の売上が1000万円を超えることは少ないため、基本的には設立後2年間消費税が免除されると考えても差し支えないでしょう。

法人住民税の納税額が安くなる

法人税とは、その名の通り法人の納める住民税です。

法人は、法人が本店所在地を構える自治体から様々なサービスを享受して事業活動を行なっていることを根拠に、登記を行なった地方自治体に対して法人住民税を納めることが義務付けられています。

資本金1,000万円以下の場合は「均等割」が最低額で済む

法人税は、課税対象所得に応じて決まる「法人税割」と資本金額に応じて決まる「均等割」の2種からなり、均等割額は資本金額と従業員数に応じて5段階に分かれています。

このうち一番最低額になるのが「資本金1000万円以下」です。

東京都内で従業員50人以下の会社を設立するとき、資本金が1000万円より高いかどうかで、11万円も均等割額が変わります

東京23区内の法人は特別区の概念が加わる

通常法人税割と均等税は、それぞれ都道府県に納める税と市町村に納める税に分かれていますが、東京23区に限っては都民税と市町村税をまとめて納める仕組みになっています。

以下では、東京23区内に事業所を有する法人の均等割の額を一覧にしています。

従業員50人以下 50人超
資本金額1000万円以下 ¥70,000 ¥140,000
1000万円超以上1億円以下 ¥180,000 ¥200,000
1億円超10億円以下 ¥290,000 ¥530,000
10億円超50億円以下 ¥950,000 ¥2290,000
50億円超 ¥1210,000 ¥3800,000
資本金1000万未満のメリット

・消費税が最大2年間免除される

法人住民税の納税額が安くなり、均等割が最低額で済む。

資本金を1000万円未満にするデメリット

社会的信用度が低くなってしまう

資本金とは、「会社に出資された金額」のことを指します。

つまり、資本金額が高いほど出資者の本気度が高く、会社の運転資金が多く倒産しにくいというシグナルになります。

このため、資本金額が高いほど一般的には社会的、対外的な信用を得やすいというメリットがあります。

逆に、資本金が少ないと、資本力のない会社だと判断され、取引相手に選ばれにくいなどのデメリットがあります。

金融機関から融資に頼らなくてはならない

会社にとって、資金繰りは非常に重要です。

会社に資金が少ない場合、例え会社に大きな売上があったとしても、その売掛金を回収する前に費用の支払い時期がきてしまうと一気に倒産の危機に瀕してしまいます。

この意味で、会社の自己資金として活用できる資本金が多いと、それだけ積極的な事業投資を行うことが可能になります。

金融機関から利子を支払って融資を受ける必要性も低くなるため、資本金が多いと安定した事業活動を営むことができるのがメリットであり、資本金がない場合には、資本金が尽きる前に借金をしなくてはなりません。

資本金1000万未満のデメリット

社会的信用度が低くなってしまう

・金融機関からの融資に頼らなくてはならなくなってしまう場合がある。

資本金を決める際に注意するべきこと

基準資産と資本金は異なる

一般的には会社を設立すればそのまま事業活動を行うことができますが、一部の業種においては認可を得る必要があります。

この認可を得るためには、基準資産を満たす必要があります。

例えば、人材派遣業の認可を得るためには、常時10名以下の雇用でも1000万円以上の基準資産が必要です。

設立直後の会社の資産は基本的には資本金であるため、一見すると人材派遣業を営むためには資本金を1000万円以上に設定する必要があるように見えます。

このような場合には、出資金額を資本金と資本準備金に分けて設定するのが節税対策としてはオススメです。

実際に出資金額の2分の1までは資本金として計上せず、資本準備金として設定することが会社法で認められています。

会社設立当初における基準資産はあくまでも出資された金額の合計として算出されるため、資本金と資本準備金の合計額が1000万円を超えていれば、認可を得ることが可能です。

このため、人材派遣業を営むために出資金を1000万円用意した場合には、例えば800万円を資本金、200万円を資本準備金として設定するのが節税面で最適です。

ただし、許認可に必要な基準資産が1500万円を超える場合は、どうしても資本金を1000万円以上に設定する必要があるので注意が必要です。

資本金額が少なすぎるのは危険

上述のように、一般的には資本金を1000万円以下に設定することでかなりの節税対策になるため、大きな初期投資が必要な会社でない限り、資本金を1000万円以下にするのが最善策と言えます。

ただし、資本金額が少なすぎるのも返って危険です。

社会的信用が得られない

現在の日本では、資本金1円から会社を設立することができますが、資本金があまりにも少ないと、「出資を得られていない」「運営体力が少ない」という風に見なされ、金融機関や取引先からの信用を得にくくなります

倒産のリスクが高い

資本金が少ないと、会社の収益よりも出費が多くなった状態に対応しづらくなります。

このため、予想外の出費ですぐに倒産の危機に瀕する可能性が高いです。

このため、少なくとも3ヵ月〜6ヶ月は売上がなくても会社を維持できるだけの資本金額を設定するのが賢明です。

資本金を決めるときの注意点

基準資産と資本金の違いを理解する。

資本金が少なすぎるのは危険!
→社会的信用を得られない場合や倒産のリスクがある。

資本金に関する相談なら

資本金を1000万円未満に抑えることで、様々な税金面でのメリットが生じます。

一方で、対外的な信用や円滑な事業活動の実現を考慮すると、資本金はなるべく多い方が望ましいです。

また、仕入れが多く「納める消費税より支払う消費税の方が多い」業種を営む場合は、そもそも消費税の免税業者にならずに消費税の還付を受けた方が良い場合もあります。

このように、最適な資本金額は、自社の事業内容、目標、税金など様々な要素を考慮して決定する必要があります。

経営サポートプラスアルファでは、このような資本金に関するお悩みに対し、財務・経営のプロフェッショナルが最適なアドバイスを提供します。

会社設立や資本金のことでお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。